先週の読売日響&バルシャイ指揮:ショスタコーヴィチ第5番に続いて、今日は、同じくバルシャイ指揮で、バルシャイ版のマーラー交響曲第10番を聴いてきました。
マーラー:交響曲第10番(ルドルフ・バルシャイによる2000年作・補筆完成版)
もともとマーラーの交響曲第10番は、全5楽章のうち、生前にほぼ完成していたのは第1楽章のみ。第2楽章以下は、マーラーの残した自筆譜に、いろいろ補筆して「完成」させたもので、ちまたで一番流布しているのは、イギリスの音楽学者デリック・クックによるもの(クック版)。プログラムノーツによれば、バルシャイ版も、クック版をベースとして大幅に手を加えたものであるとのこと。
そういうこともあって、もともと10番は、なんとなく“まとまり感”に欠けるところがあって、手許にあるインバル指揮、フランクフルト放送交響楽団による演奏(マーラー交響曲全集のなかの1枚。これはクック1976年版による演奏)も、どうもよく分からない。マーラーらしくないというか、統一的なイメージがわかないというか、全体構造が見えないというか、ともかく居心地が悪いのです。
で、今日の演奏はというと、そういうもともと10番のもっている“まとまり感”のなさ、据わりの悪さに加え、オケがバルシャイの指揮についていけてない感じで、いっそう散漫な感じに終始してしまいました。とくに、弦が、マーラーの交響曲特有の透明な響きを出せてなくて、ますますマーラーらしからぬ楽曲になっていました。
さらに、演奏の途中で、女性のお客さんが、理由は分からないけれど、突然ハイヒールのカツンカツンという音を立てたかと思うと、そのあとには泣き出すという“おまけ”付き。演奏終了後、ブラボーの声もかかっていましたが、私は、そんなわけで、すっかり白けてしまいました。残念…。
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どうも、ほかのブログを見ても、今日の演奏は評判悪いみたいですね(もちろん、良かったという人もいらっしゃいますが)。弦だけじゃなくて、木管も音程が怪しかったし…。練習不足なのか、それとも読響の実力がこの程度なのか、ちょっとお粗末だったのではないでしょうか。
【演奏会情報】読売日響第448定期演奏会
指揮:ルドルフ・バルシャイ/コンサートマスター:藤原浜雄/4月27日(木) 午後7時開演 サントリーホール
はじめまして!トラックバックありがとうございます。
実は私RDにいまして、ハイヒールの音と泣き声にしっかり悩まされてしまいました・・・(すぐ間近でしたから)。
それと確かに「お粗末」だったと思います。あれにブラボーはないですよね。
ちなみにバルシャイ版ははじめて聴きましたが、クック版ではザンデルリング/ベルリン交響楽団の79年のやつが好きですね。
はじめまして、トラックバックありがとうございます。
自分でスコアを確認していないということもあって、自分のブログでは多少やわらかめに書きましたが、そこにも書いたように音楽がまとまらない、流れていかないという印象はとくに第4楽章まで強くありました(第2楽章はパーカッションを見て楽しんでいるうちに終わってしまいましたが)。オケが音楽を自分のものにしておらず、譜面をリアリゼーションすることに追われてしまっているという印象です。弦の音色に対する不満もご指摘の通り。ただ第5楽章のエンディングは美しかったと思いますし、いくつかのパートは素晴らしかったことは確かなので、あまりに否定的なことは私は言いたくないです(私は批評するためではなく楽しむために演奏会に行くので、できるだけいいところを探して楽しみ、その感想を書きたいのです)。しかし確かに、演奏そのものはちょっとブラーヴォに値するものではありませんでした。ということで、私は編曲者バルシャイへのブラーヴォと自分なりに理解しました。先日のショスタコーヴィチはとても良かったのですがね・・・。
バルシャイ版への評価は分かれると思います。あの音響への好き嫌いも大きいでしょうし、あくまで「マーラー的世界」を追求する人は受け付けないでしょう。ショスタコーヴィチ好きの私は嫌いではないです。マーラーの最後の曲としてではなく、マーラー/バルシャイの新しい作品として楽しめばいいのでは・・・と思います。
長々と失礼いたしました。今後もよろしくお願いいたします。
どうも、初めましてSt.Ivesです。トラックバックをしていただきありがとうございます。
CDで聞いて、また楽譜を見ていたこともあり、うーむと唸ってしまいました。自分で編曲したとはいえ、齢80を越えた(?)人には振るのが難しい曲だなあという感じでありました。
また、オケは自分のパートをさらうのが精一杯で纏めるという発想まで行っていないのかなという感じが強かったですねえ、他の演奏会ではそう感じたことはなかったので、指揮者の責任が大きいかなあと思います。
それでは、今後ともよろしくお願いします。