外国首脳がみんな賛成しているわけではない

先日、小泉首相が「外国の首脳はすべて私の言っていることを理解している。『小泉さんは正しい』『中国、韓国はおかしい』と言っている」として、中国、韓国を批判したことは紹介しましたが、実際はそうではないことが、小泉首相自身の外国訪問によって、早くも実証されてしまいました。

小泉首相にしてみれば、日本の国連安保理常任理事国入りを狙って、現在、国連総会議長のスウェーデンを訪問したのでしょうが、それについては支持はえられず、むしろ本気で常任理事国入りを望むなら中国との関係を改善すべきだと釘を刺されてしまった恰好です。

スウェーデン首相「日中は友好的に」、小泉首相と会談(朝日新聞)

スウェーデン首相「日中は友好的に」、小泉首相と会談
[asahi.com 2006年05月04日21時04分]

 小泉首相は4日昼(日本時間同日夜)、スウェーデンのぺーション首相と首相府で会談した。ぺーション首相は日中関係に触れ、「ともにアジアで非常に重要な国で、友好的に発展していくことが大事だ」と指摘。小泉首相は「私も日中友好論者だ。一つの問題で中国は首脳会談に応じないが、私はいつでも応じる用意がある」と述べ、靖国神社参拝については「今まで戦地でいろんな方々が亡くなられたことで、心から平和のために、個人的にお参りしている」と説明した。
 またぺーション首相は、北朝鮮の核開発問題に懸念を表明。日本人拉致問題について「できるだけ協力したい」とし、北朝鮮に解決を促す考えを小泉首相に伝えた。スウェーデンは北朝鮮と国交があり、国連総会の議長国でもある。

小泉首相の3ヶ国歴訪、その成果は(TBS News-i)

小泉首相の3ヶ国歴訪、その成果は
[TBS News-i 2006年05月04日21:56]

 小泉総理は、アフリカ諸国とスウェーデンの3ヶ国歴訪の日程を終え、5日午前に帰国しますが、難航する国連常任理事国入りに向けた成果はあがったのでしょうか。
 「国連安保理改革を早急に実現しなければなりません。そうすれば安保理にもアフリカの声が届きます」(小泉首相、エチオピア・1日)
 去年、日本が常任理事国入りを狙った決議案を支持しなかったアフリカで、小泉総理は、野口英世賞の創設を突然、表明するなどトップダウンの小泉流外交を展開し、行く先々で最大級の歓迎を受けました。
 国連総会議長国のスウェーデンもあわせ、現職の総理大臣としては初めての訪問で、小泉総理は「狙うのは目先の成果ではない」としていますが、常任理事国入りへの巻き返しに積極的な姿勢を見せた格好です。
 しかし、アフリカでは、最近、中国が資源確保に向けた積極外交を展開しています。
 「アフリカ諸国が中国からの支援を受けるのは結構だ。中国も大いにアフリカに支援して頂きたい」(小泉首相、ガーナ・2日)
 日本の常任理事国入りに否定的な中国の存在は、去年、日本がアフリカの支持を得られなかった背景として指摘されています。
 日中関係は、スウェーデンの首相からも関係改善を促されるなど、遠いアフリカ、ヨーロッパの地でも日本外交に影を落としています。
 常任理事国入りに向けた環境整備を順調にこなすという成果を収めた小泉総理。しかし、小泉外交の影の部分である東アジア外交の建て直しを抜きにして、その道筋が描けるのかどうかは不透明です。

なお、日本の常任理事国入りについて、スウェーデン首相が理解を示したとの報道もありますが、読売新聞を見ても、スウェーデン首相の発言は、「アジアから指導的な立場の代表が必要だ」というごく一般的なもの。むしろ、「明言しなかった」という中日新聞の記事の方が事実に近いのではないでしょうか。

対中関係 日本は改善を 首脳会談でスウェーデンが促す(中日新聞)

対中関係 日本は改善を 首脳会談でスウェーデンが促す
[中日新聞 2006/05/05]

 【ストックホルム=高山晶一】小泉純一郎首相は三日午前(日本時間同日夜)、ストックホルムの首相府でペーション首相と会談した。ペーション首相は「日本と中国はアジアでも非常に重要な国。友好的に発展していくことが大事だ」と述べ、日中関係の改善を促した。
 小泉首相は「私も日中友好論者。今、一つの問題をめぐって中国首脳が(日本との)首脳会談に応じてないが、私はいつでも応じる」と述べ、中国が反発している自身の靖国神社参拝については「平和を祈る気持ちからだ」と説明した。
 小泉首相が北朝鮮による日本人拉致事件を説明したのに対し、ペーション首相は「スウェーデンも人権問題には大きな関心を持っている。北朝鮮と国交があり(北朝鮮首脳と)会う機会があるので、できる限りの協力を行いたい」と解決へ協力する意向を表明した。
 両首脳は国連改革の必要性で一致。ただ、ペーション首相は日本の安全保障理事会常任理事国入りを支持するかどうかは明言しなかった。

スウェーデン首相も日中関係に懸念…最後の訪問国(読売新聞)

スウェーデン首相も日中関係に懸念…最後の訪問国
[2006年5月4日22時20分 読売新聞]

 【ストックホルム=日高徹生】北欧・アフリカを歴訪中の小泉首相は4日昼(日本時間同日夜)、最後の訪問国であるスウェーデンのストックホルム市内の首相府で、ペーション首相と会談した。
 ペーション首相は日中関係について「日中両国はアジアで重要な国。両国が友好的に発展することが大事だ」と述べ、靖国神社参拝問題で日中首脳交流が途絶えていることに懸念を示した。小泉首相は「中国との友好的な関係を強化したい。ただ一つの問題で首脳会談が開けないのはおかしい」と述べ、首脳会談に応じない中国側を批判した。
 ペーション首相は北朝鮮の核開発や日本人拉致問題に懸念を示した上で、「北朝鮮側と会う機会があるので、人権問題を含めて、しっかり話をしたい」と述べ、国交がある北朝鮮への働きかけを強める考えを示した。国連安全保障理事会改革に関しては「アジアから指導的な立場の代表が必要だ」と述べ、日本の常任理事国入りを支持する考えを示唆した。両首相は、スウェーデンのカール16世グスタフ国王が来年、日本を訪れる方向で調整することでも一致した。

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