30?40代の男女で、所得格差が拡大していることが明らかに。当初所得でみると、年収1000万円以上の世帯13%にたいし、100万円未満は約23%に。
これが厚生労働省の所得再配分調査
→平成14年所得再分配調査報告書(厚生労働省)
30?40代広がる所得格差 ジニ係数3割上昇
[中日新聞 2006年5月8日]2002年までの15年間に、所得格差の度合いを示す指標値「ジニ係数」が30?40代の男女で最大約30%上昇したことが、国立社会保障・人口問題研究所の金子能宏部長らの研究で分かった。厚生労働省の「所得再分配調査」のデータを再集計した。
60代以上の高齢層でも格差は拡大したが、年金を加えた再分配所得で大幅に圧縮されたのに対し、30?40代では税や社会保障による改善がみられなかった。現役世代の格差は今後も拡大の可能性が指摘され、対応が課題となりそうだ。
所得格差をめぐっては内閣府が1月に「主に高齢者世帯の増加などによる見かけ上のもので(実質的な格差拡大は)統計データからは確認できない」との見解を公表。一方、厚労省は労働経済白書の06年版骨子で賃金格差の拡大を指摘し、政府内でも現状認識に関し温度差が出ている。
再集計は厚労省が3年に1回、世帯単位で集計、公表している所得再分配調査の1987年、93年、02年のデータを男女、5歳ごとの年齢階級別に比較した。
ジニ係数は社会保障給付を含まない税引き前の当初所得ベースで、30?49歳の男性が10.2?29.6%、30?44歳の女性が9.8?23.3%上昇した。29.6%上昇したのは35?39歳の男性だった。男女とも、特にバブル経済崩壊後の93年以降に格差拡大が目立った。
65歳以上の男性と60歳以上の女性もジニ係数が上昇したが、年金給付により所得格差が改善されていた。
02年の所得再分配調査によると、当初所得の年収が1000万円以上の世帯が約13%を占める一方、100万円未満の世帯は約23%に上る。
分析を担当した同研究所の小島克久室長は「現役世代では非正規雇用の増加や成果主義への移行が、高齢層では賃金収入がなく年金などで生活する人の増加が背景」と指摘している。<ジニ係数> 所得や資産の不平等さを示す指標。全員の富がまったく同じ完全平等を「0」、すべての富が1人に集中する完全不平等を「1」とし、数値が1に近いほど貧富の差が大きいことを示す。経済協力開発機構(OECD)が2004年に発表した統計では、日本は0.314で、加盟国の平均や北欧諸国、ドイツ、フランスなどの数値を上回った。
ジニ係数については
→経済指標の見方・使い方<H17.4>