重田澄男氏が『マルクスの資本主義』のなかで、マルクスの「ロンドン・ノート」がJ・S・ミルの『経済学原理』の抜粋から始まっていることを知り、あらためてJ・S・ミルを勉強してみようかと思いました。
といっても、いきなり『経済学原理』(1848年)を読むのはちょっとアレなので(岩波文庫でも5分冊あるぐらいだから)、少し昔の本ですが、四野宮三郎著『経済学者と現代<3> J・S・ミル』(日本経済新聞社、1977年)を古本で手に入れて読んでみました。
J・S・ミルは、学説史的には「折衷的」と位置づけられますが、だからこそ、マルクスが経済学を学ぶ手始めに、『経済学原理』を読んだのかも知れません。『経済学原理』の出版年が『共産党宣言』と同じだというのも、なにやら偶然だけとは言えないような気もします。
四野宮氏の本を読んでみると、『原理』のなかでも社会主義問題に言及していることや、市場経済をメリットとデメリットという角度から論じていることなど、いろいろ興味深い論点があることを知りました。労働者アソシエーションへの注目というのも、面白そうです。
まあ、この本はごく簡単な紹介なので、これだけでは何とも言えませんが、あらためて調べてみると、「J・S・ミル?マルクス」問題というのは、いろいろ文献があるみたいです。マルクスが、どんなところで、どんなふうにJ・S・ミルを論じているのかも調べてみる必要がありそうです。
以前なら「折衷的」ということで片づけられていたのでしょうが、「市場経済を通じた社会主義への道」という立場からあらためて検討してみたら、いったいどう見えるのか? ちょっと興味がわいてきました。ただ困ったのは、岩波文庫『経済学原理』が現在品切れなこと。古本だと5冊揃は1万円します。う〜む、困った…。