追悼 向井俊彦氏

向井俊彦『唯物論とヘーゲル研究』(文理閣)

14日、立命館大学の向井俊彦氏が亡くなられました。

向井俊彦氏死去/立命館大教授、哲学(四国新聞)

直接の面識はありませんが、同氏の『唯物論とヘーゲル研究』(文理閣、1979年)は、私が哲学を勉強するときの出発点の1つともいうべき大事なものになっています。

本書で重要な指摘と解明は多々ありますが、1つ上げるとすれば、「異なった立場の研究の交流をもまた原理をもって準備するのが、民主的な哲学研究者の任務であろうし、その原理は哲学そのものの発展に寄与するためのものであるべきで、たんに特殊な立場の優位性を示そうとするためのものであってはならない」という指摘です(同書、7?8ページ)。

唯物論の枠の中だけで議論するのではなく、他の哲学潮流とも共通の論点を設定して、学問的交流をおこなうとともに、そこから唯物論の立場に立つ研究創造活動の発展とイデオロギー闘争の前進をはかる必要があるという指摘は、今日においても、なお傾聴に値する指摘だと思います。この論文が1973年の第1回全国若手哲学研究者ゼミナールで行われたものであること、そしてそのとき著者が30歳の若さであったことも銘記されてよいことだと思います。

心から、ご冥福をお祈りします。m(_’_)m

向井俊彦氏死去/立命館大教授、哲学
[四国新聞 2006/05/15 12:04]

 向井俊彦氏(むかい・としひこ=立命館大教授、哲学)14日午後0時47分、白血病のため京都市上京区の病院で死去、62歳。三重県出身。葬儀・告別式は16日午後2時から京都市北区紫野宮西町34、公益社北ブライトホールで。喪主は妻智枝(ともえ)さん。

【書誌情報】
書名:唯物論とヘーゲル研究/著者:向井俊彦/出版社:文理閣/発行年:1979年/定価:本体1,500円+税/現在品切れ(古本では入手可)

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