昨日は都響第627回定期演奏会でサントリーホールに行ってきました。プログラムは、デンマークの作曲家カール・ニールセン(1865?1931)の作品とチャイコフスキーのピアノ協奏曲。
- ニールセン:歌劇「仮面舞踏会」序曲
- チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 op.23
- ≪休憩≫
- ニールセン:交響曲第4番 「不滅」 op.29
指揮は、ノルウェー・日系米国人、現在はデンマーク在住のヨゼフ・スウェンセン。ピアノは、ロシア人のニコライ・ルガンスキー。
今日のお目当てはニールセン。交響曲第4番だけでなく、ニールセンの曲を聴くこと自体が初めてです。はたしてどんな曲だろうかと思っていましたが、プログラムノーツによれば、この曲が作曲されたのは第1次世界大戦が勃発した直後の1914年夏。デンマークは中立を維持したとはいえ、隣国ドイツの圧力をひしひしと感じたことは間違いありません。それが、この曲にも反映しているのでしょうか、穏やかな旋律と不安定な曲想との対比が印象的でした。
それにしても、初めての曲を聴くうえで、とても役だったのが、今月の都響のプログラムの曲目解説。第1部から第4部まで、曲の展開が非常によく分かる解説だったので、安心して音楽を聴くことができました。
ところで当日の演奏ですが、チャイコの時には、ピアノに合わせて、べたべたな演奏を聴かせてくれたスウェンセンでしたが、ニールセン第4番では、うってかわって、バッシンバッシン、メリハリの大きい、しっかりきっちりした演奏を聴かせていただきました。とくに第4部での2台のティンパニの激しい叩き合いは迫力満点でした。
都響も、弦が比較的きれいにそろっていたし、アンサンブルもよくて、なかなかの好演。先月のブルックナーに比べても、よくまとまっているという印象でしたが、人数から言って、今日はトラなしだったからかも知れません。しかし、オケのメンバーが85人になって、こういう曲しかできなくなってしまうとしたら、残念というか、もったいないことです。
さて、休憩前のルガンスキーのチャイコは、べたべたの大甘な演奏でした。まあ、耳には大変心地よかったので、途中までぐっすり熟させていただきましたが、終わってみれば拍手大喝采。アンコールに、チャイコフスキー(ラフマニノフ編曲):ララバイを披露してくれましたが、正直、こんなに人気があるのか?僕にはよく分かりません。(^_^;)
で、ニールセン「不滅」のとき、休憩前のべた甘のチャイコで満足したのか、それとも「不滅」が切れ目なく演奏されるためか、演奏が始まってしばらくすると、お客さんたちの緊張感が切れてきて、あっちでざわざわ、こっちでごそごそ…。なんとなく会場が落ち着きません。それも、第4部にはいって曲が激しくなるのにつれて、集中し直しましたが、ちょっとプログラムの組み方に難ありということかも知れません。だいたい、デンマークのニールセンの間に、なんでロシアのチャイコフスキーなのか、というのは僕も疑問でなりませんでした。
ところで、「不滅」という標題の言語はDet Uudslukkelige。「滅ぼし難きもの」「消し難きもの」という意味だそうです。ニールセン自身、「音楽だけが完全に表現できる生命への根源的な意志」「音楽は生命であり、生命と同様に“滅ぼし難きもの”である」とのこと(これもプログラムの「曲目解説」による)。そういわれてみると、迫りくる戦争の不安にたいし、生命への力強い志向が伝わってきます。ニールセン、いいかもしれません。
【演奏会情報】
指揮:ヨゼフ・スウェンセン/ピアノ:ニコライ・ルガンスキー/コンサートマスター:山本友重/演奏:東京都交響楽団/サントリーホール/5月16日 午後7時開演
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