教育にかんする妄言1

22日付の「朝日新聞」オピニオン欄で、「“職員会議で採決禁止”の是非は?」のテーマで中村正彦・東京都教育長がこんな発言をしていた。

 私たちは高校改革を進めており、特色ある都立学校に変えていくことを目標にしている。地域や保護者の理解をいただき、子どもたちに目を輝かせて勉強してもらうための学校経営方針を、多数決で決めること自体なじまない。(「朝日」2006年5月22日付朝刊東京版)

本当に、地域や保護者に理解され、子どもたちも歓迎するような改革であれば、ちゃんと多数が賛成するはず。反対が多いというのは、その「改革」には問題が多いからだと考えるのが当たり前。そこを省いて「改革」を押し付けてみても、うまくゆくはずありません。

このおじさん、冒頭、こんなふうに語っています。

 学校経営の決定権が校長にあることは、学校教育法に定められている。しかし、一部の学校で、職員会議が最高意志決定機関のように位置づけられ、校長の決定権がないがしろにされてきた。(同前)

要するに、「学校経営の決定権が校長にあることは、学校教育法に定められている」という以外に、「学校経営に多数決不適切」という論拠がないのです。教育とはどういうものか、学校とはどうあるべきか、学校の運営とはどうあらねばならないか、そういう教育的な議論はどこにもありません。

あとは、この大前提から、ただひたすら、だ〜〜〜っと結論が演繹されているだけです。学校の決定権が校長にあるのだから、職員会議で議論して学校運営の方針を決めるのは校長の決定権をないがしろにするものだ、学校教育法に書いてあるから何度も通知を出したのに守らないのはけしからん、だから「学校経営に多数決不適切」というだけです。参考のためであれ挙手すれば、結局「縛りがかかってしまう」、だから一切挙手させるな、という徹底ぶり。

要するに、この人の頭にあるのは、「職員会議が実質的な議決機関にならないよう徹底」するということだけ。なるほど、たしかに「大人げない」話です。

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