「日経新聞」が「中韓との関係改善を望む」と題する社説を掲載(25日付)。その最後で、「小泉首相がA級戦犯を合祀(ごうし)した現在の靖国神社への参拝を任期中に強行すれば、中韓との関係修復の試みも再び振り出しに戻りかねない」と指摘。
退任直前の小泉首相が、最後に、8月15日の靖国参拝を強行するのではないかと言われていることを、明らかに牽制したものですね。
社説2 中韓との関係改善を望む(5/25)
麻生太郎外相が23日、カタールのドーハで韓国の潘基文(バン・キムン)外交通商相、中国の李肇星外相と個別に会談、両国との関係打開策を話し合った。小泉純一郎首相の靖国神社参拝を巡る双方の立場は平行線をたどったが、未来志向の日中、日韓関係の構築を目指すことでは一致した。
中国とは東シナ海ガス田開発協議を加速し、韓国とは排他的経済水域(EEZ)境界画定交渉を来月再開することでも合意した。これを機に中韓との関係悪化に歯止めをかけ、双方の努力で相互信頼の回復に努めるよう望みたい。
日中外相会談は昨年5月以来だが、双方に関係修復に向けた配慮もうかがえた。李肇星外相は小泉首相の靖国参拝を改めて批判する一方、日本との関係改善、発展を重視する胡錦濤国家主席の政策を強調した。麻生外相は靖国参拝についての日本の立場を説明、自身は「公的な立場を踏まえて判断する」と表明した。
双方は経済、科学技術、文化、安全保障などあらゆる分野での交流、協力を拡大することを確認し、ガス田開発を巡る局長級協議の加速や、東シナ海で不測の事態を回避するための協議・通報システムを検討することで合意した。李外相は拉致問題の重要性にも理解を示した。
中国の大規模反日デモから1年余りを経て日中双方が両国関係の重要性を再認識し、冷静に修復を模索し始めたものと受け止めたい。
韓国との間でも、潘基文外交通商相が首相の靖国参拝自粛を求める一方、竹島(韓国名・独島)周辺のEEZを巡る境界線画定交渉を来月中旬に再開することや、拉致問題での連携強化で合意した。先月には竹島問題を巡り両国関係が緊張したが、今回はこの問題への深入りを避け、関係改善の糸口を探った。
内閣府が20日発表した「社会意識に関する世論調査」によると、日本が「悪い方向に向かっている分野」として「外交」を挙げた人が31.3%に上り、昨年2月の調査より7.8ポイントも上昇した。小泉首相がA級戦犯を合祀(ごうし)した現在の靖国神社への参拝を任期中に強行すれば、中韓との関係修復の試みも再び振り出しに戻りかねない。