伊東光晴氏の新著『現代に生きるケインズ』(岩波新書)に続けて読んでいた『ケインズ』(講談社学術文庫)ですが、こっちも読み終わりました。
う〜む、やっぱりちゃんと読まんとあかんなぁ〜、というのが一番の感想。『現代に生きるケインズ』で論じられている問題が、いろいろ、もっと詳しく論じられています。アクセントの置き方などでちょっと変わっているところもありますが(たとえばカーンの波及的乗数効果論にたいする評価は、新著に比べて、それほどシビアじゃなかったり、など)。その代わり、流動性選好利子論や投資決定論などの説明は、ずっと詳しくて、よく分かります。
それから、第4部「ケインズと現代」に、「国際通貨制度のケインズ」(浅野栄一氏執筆)や「ポスト・ケインジアンにおけるケインズの継承と発展」(青木達彦氏執筆)などがあって、『一般理論』以後の話が分かるようになっている点も、勉強になりました。青木氏執筆部分は、ちょっと難しかったですが…。
ということで、こんどは浅野栄一『ケインズ一般理論入門』(有斐閣新書、1976年)を読んでみることにしました。
【書誌情報】
書名:ケインズ/著者:伊東光晴/出版社:講談社(学術文庫1105)/発行年:1993年(親本は1983年刊、『人類の知的遺産』シリーズ第70巻)/定価:本体971円+税/ISBN4-06-159105-3