昨年11月、米海兵隊員がイラク中西部のハディーサで住民20数名を虐殺した事件が判明。右の写真は、Probe: Marines Likely Murdered Iraqis, Investigators Believe Marines’ Killing Of Iraqis Was Unprovoked – CBS Newsから
事件は、路上爆弾で米海兵隊員が殺害された直後に発生。海兵隊員は民家に押し入り、女性や子どもを含む20数名を“処刑”しました。米海兵隊当局は、当初、銃撃戦にまきこまれたと説明していたが、直後の現場を撮影したビデオ映像が残っていたことから、隊員らによる虐殺が明らかになりました。
米海兵隊員のイラク民間人殺害疑惑、米上院委員会が調査へ(CNN.co.jp)
米海兵隊員のイラク民間人殺害疑惑、米上院委員会が調査へ
[2006.05.29 Web posted at: 17:54 JST – CNN]ワシントン(CNN) 米上院軍事委員会は28日、米海兵隊員が昨年、イラクで無実の民間人24人を一方的に殺害したとする疑惑の真相究明に乗り出す意向を明らかにした。
委員長のウォーナー上院議員(共和党)はABCテレビに対し、同委員会が結論に達する前に、軍事司法統一法典(UCMJ)に基いた査問を行うべきだと指摘。UCMJで当事者全員の権利が保護されるようになった直後に、同委員会が公聴会を開く考えを表明した。ウォーナー議員は、旧アブグレイブ刑務所の事件と同様に対応したい姿勢にあるという。
事件は昨年11月19日、イラク西部ハディサで道路脇に仕掛けられていた爆弾が爆発し、米海兵隊員1人が死亡したことが発端とされる。海兵隊側は当時、爆発でイラク民間人15人も死亡したと報告していた。しかし米国防総省筋は26日、これまでの調査で、米海兵隊員らによる殺人疑惑が事実であることが裏付けられる可能性を明らかにした。海兵隊は近く殺人罪などに問われる見通しという。
また、マーサ上院議員(民主党)はABCの番組「ジス・ウィーク」で、事実隠ぺいが行われたとの認識を示すとともに、旧アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待よりひどい事件である可能性を指摘。同議員が高官レベルの報告として語ったところによると、道路わきの爆弾が爆発した後、現場をタクシーが通りかかった。米海兵隊員らは車内にいた4─5人に向かって銃を発砲したうえ、数軒の民家も襲撃し、銃を乱射した。あるイラク人女性は子どもの命を救うよう嘆願したものの、海兵隊員はこれを聞き入れず、女性を射殺した。
当時武装勢力による発砲はなく、タクシー車内の人々も武器を携帯していなかった。イラク当局が民間人の遺族らに賠償金を支払っていたことから、マーサ議員はイラクの高官レベルが事件を把握していた可能性が高いとしている。
「処刑」示す?写真隠ぺいか 米海兵隊のイラク人殺害疑惑で米紙(中日新聞)
「処刑」示す?写真隠ぺいか 米海兵隊のイラク人殺害疑惑で米紙
[中日新聞 2006年5月29日]【ロサンゼルス=共同】イラクで昨年11月、米海兵隊の部隊が理由もなく多数の民間人を殺害したとされる疑惑で、27日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、海兵隊の情報部門のチームが殺害直後の現場写真を撮影、その状況から民間人らは「処刑」された可能性が高いことが分かったと報じた。
海兵隊が組織ぐるみで殺害を隠ぺいしようとした疑いも浮上しており、米軍にとっては旧アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待事件以来の重大問題に発展する恐れも出てきた。
事件の調査に詳しい政府筋によると、殺害が起きた昨年11月19日、戦闘部隊とは別の海兵隊情報部門のチームがバグダッド北西にあるハディーサの現場に入り写真を撮影。殺害された女性や子どもを含む24人のうち5人が路上で、残り19人の遺体は3、4軒の民家内で見つかった。
民間人は頭部や背中を撃ち抜かれる「処刑スタイル」(同政府筋)で殺されていた。戦闘部隊員らは当初、反米勢力との戦闘が起き、民間人が巻き添えになって死亡したとの印象を与える報告をしていたが、周辺の民家などに弾痕などはなく、虚偽である疑いが強い。
米議会関係者らは、組織ぐるみでなんらかの隠ぺい工作がなかったかどうかを含め、海兵隊に説明を求めている。
海兵隊によるイラク民間人殺害疑惑、30人死亡と 米議員(CNN.co.jp)
海兵隊によるイラク民間人殺害疑惑、30人死亡と 米議員
[2006.05.19 Web posted at: 12:54 JST – CNN]ワシントン(CNN) イラク中西部のハディーサで昨年11月、米海兵隊部隊が住民15人を虐殺したとの疑惑をめぐり、下院民主党の重鎮ジョン・マーサ議員(ペンシルベニア州選出)は17日、「殺された住民は少なくとも30人に上る」との見方を示した。同議員はさらに、「海兵隊員らは罪のない民間人を平然と殺害した」と非難した。
マーサ氏は記者団との会見で、「米軍司令官らから得た情報によれば、調査の結果、海兵隊員らが故意に住民を殺害したことが明らかになるだろう」と述べた。これに対し、海兵隊は「現在調査中」としてコメントを拒否した。
ハディーサでは当時、路上爆弾で米海兵隊員が死亡。同じ部隊の隊員らが、爆弾を仕掛けた武装グループを捜索していた。この過程で住民らが死亡したことについて、海兵隊は当初、爆発や銃撃戦に巻き込まれたと説明。しかし、直後の現場を撮影したビデオ映像が残っていたことから、イラク人権団体が疑問の声を上げ、米誌タイムが今年3月、虐殺疑惑を報じた。これを受け、部隊の司令官らが先月、降格などの処分を受けている。
マーサ氏は「住民を殺したのは爆弾でも銃撃戦でもない。海兵隊部隊が精神的重圧の下で過剰反応を示したのだ。隊員らは民家に押し入り、女性や子どもたちを殺害した」と説明する。同氏はベトナム戦争経験を持ち、ブッシュ政権にイラクからの即時撤退を主張している。
米海兵隊、無抵抗のイラク市民20人虐殺・隠ぺい疑惑(読売新聞)
米海兵隊、無抵抗のイラク市民20人虐殺・隠ぺい疑惑
[2006年5月27日10時46分 読売新聞]【ワシントン=坂元隆】イラクに駐留する米海兵隊員が2005年11月、女性や子供を含む無抵抗のイラクの一般市民20人余りを射殺し、その後、事件を隠ぺいしようとした疑惑が浮上した。
米主要メディアが26日、一斉に報じたところによると、軍の内部調査はすでに進んでおり、責任者は殺人罪などに問われる可能性があるという。
ニューヨーク・タイムズ紙などが報じたこれまでの調査結果によると、事件は、イラクの中でも治安の極めて悪いアンバル県ハディタで発生。海兵隊は、隊員の1人が道路脇にしかけられた爆弾で死亡したため現場周辺を捜索した際に、隊員の一部が路上にいた男性や民家の中にいた女性、子供らに銃を乱射し、24人前後の市民を殺害した疑いがもたれている。
海兵隊では当初、「爆弾とそれに続く武装勢力との戦闘で15人が死亡した」と発表していたが、3月にタイム誌が生存者の証言や遺体の写真などに基づき事実関係に疑問を提示していた。海兵隊の広報担当者は「調査が終了するまでコメントできない」としているが、事件にかかわった部隊の大隊長1人と中隊長2人はすでに解任されている。
調査の進行状況について海兵隊から説明を受けたジョン・ウォーナー上院軍事委員長はロイター通信に「極めて深刻な事件が起きたのは事実」と述べた。
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