公正取引委員会が、自民党の部会で、教科書販売の「特殊指定」を9月1日に廃止する方針を提示。
意見募集したが、廃止方針を変更すべき「特段の事情は認められなかった」というけれど、いったいどんな意見が寄せられ、それにたいし公取委はどう考えたのか、まったく明らかではありません。
教科書はいま、写真・図版が増え、カラー化している一方で、単価は非常に抑えられていて、教科書会社はどこも大変です。で、正直、全国的に上位2社ないし3社による寡占化がすすんでいます。そんなときに「特殊指定」を解除したら、教科書の内容よりも“営業力”によって採択・不採択が決まることになりかねません。
特殊指定を廃止するなら、検定も、教育委員会による広域採択も全部廃止して、何を教科書にするかは学校の先生が自由に決めるようにするのが当然。検定制度のもとでの「特殊指定」廃止は、最悪の結果を招くだけです。
メディアは、新聞の「特殊指定」問題ばかり取り上げ、解除が見送られたと言って浮かれていますが、その一方で、教科書の「特殊指定」解除問題はろくに取り上げていません。ちょっと身勝手すぎるんじゃないでしょうか。
教科書の特殊指定、公取「9月1日廃止」
[2006年5月31日13時22分 読売新聞]公正取引委員会は31日午前の自民党文部科学部会・文教制度調査会合同会議で、教科書販売の不公正取引を規制した独占禁止法に基づく「特殊指定」を9月1日に廃止する方針を示した。
公取委は3月16日から4月17日まで、教科書の特殊指定廃止について、国民から意見を募集していた。合同会議の中で、公取委は「寄せられた意見について検討した結果、廃止の方向性を変更すべき特段の事情は認められず、廃止の施行日は今年度の教科書採択活動が終了する9月1日にしたい」と説明した。ただ、意見の件数や賛否の内訳など、廃止方針を決める際の具体的な根拠は明らかにしなかった。
これに対して出席した議員からは「教科書は公共的意味合いが強く、廃止で純粋な民間の競争にゆだねていいのか」など、慎重な対応を求める意見が相次いだ。
また、文部科学省も意見を述べ、「特殊指定を廃止すると、教科書会社が教育委員会に配る教科書見本の数量に制限がなくなる」などとして公取委の方針に反対した。
こうした意見を踏まえ、松野博一文部科学部会長は、公取委と文科省で協議を続けるよう求めた。
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