総務省の労働力調査詳細結果(2006年1?3月期)によれば、雇用者は前年同期比79万人増。しかし、正社員の増加はわずか7万人。非正規社員が72万人増で、雇用増の9割以上が非正規雇用であることが明らかに。また、雇用者全体に占める非正規雇用の割合は、33.2%で過去最高に。
→総務省「労働力調査詳細結果(2006年1?3月期平均)」
このまえ「統計は正確に理解しよう」で紹介したのは、同じ労働力調査詳細結果の2005年の年平均の数値。こんどは2006年1?3月期の平均。元データが違ってますので、数字は若干違ってますが、全体の傾向は同じですね。
2005年の年平均では、全体として雇用者(役員を除く)が32万人増えたといっても、内訳を見ると非正規雇用69万人増に対し正規雇用は36万人減。これに対し、最新データでは正規雇用も増加に転じています。しかし、雇用増の大部分が非正規雇用という状況は相変わらず。ここのところを改善しないと、「景気回復」といってみても、その恩恵が及ぶのはごく限られた一部にとどまることになります。
↓以下は、総務省「労働力調査詳細結果(2006年1?3月期平均)」から
【図1 「正規の職員・従業員」・「非正規の職員・従業員」の対前年同期増減および「非正規の職員・従業員」の割合】
【表1 雇用形態別就業者】
雇用増1年で79万人 9割以上が非正社員
≪25?34歳、氷河期世代で顕著≫
[産経新聞 2006/06/04 東京朝刊]景気回復に伴って雇用環境が改善する中で、この1年で増えた雇用者のうち、9割以上が非正社員であることが3日、総務省の調査でわかった。この結果、雇用者全体に占める非正社員の割合は3分の1にまで拡大し、とくに25?34歳層の増加が顕著になっている。企業は固定費の増加につながる正社員の増員には依然として慎重な姿勢を示している格好であり、厚生労働省では企業に対して中途採用を含め、新卒以外にも若者層の正規雇用を求めていく方針だ。(福島徳)
総務省が四半期ごとにまとめる労働力調査詳細結果の18年1?3月期平均によると、就業者のうち、雇用者(役員を除く)は5002万人で、前年同期に比べて79万人増加した。正社員は5四半期ぶりに増加に転じたとはいえ、増加幅は7万人にとどまった。
一方、パート・アルバイトや派遣社員、契約社員などの非正社員は、72万人増え、この1年で増加した雇用者の9割以上を占めた。完全失業率は3年前の5.5%をピークに改善を続け、今年2月以降は4.1%に低下しているが、非正社員を中心に改善している実態が裏付けられた。とくに25?34歳の増加が目立ち、前年同期比で30万人も増えた。就職氷河期に高校や大学を卒業し、正社員になれずにパートやアルバイトなど非正社員のまま、高年齢化していることをうかがわせた。
非正社員の賃金は正社員の6割程度と低く、税金や社会保険料の納付も低水準にとどまる傾向がある。また、雇用形態も不安定で、結婚や出産をためらう傾向が指摘されている。少子高齢化で国の財政が逼迫(ひっぱく)する中で正規雇用の拡大は大きな課題といえる。
みずほ総研の太田智之シニアエコノミストは「企業が25?34歳の年齢層で必要としている人材は即戦力だけ。高齢者や再就職を希望する女性とも競合するだけに、これらの層の雇用環境が改善するにはもう一段の景気回復が必要」とみている。(06/04 08:48)