「防衛省」法案、国会提出へ

防衛庁を「防衛省」に格上げする法案を閣議決定し、国会に提出。

「庁」が「省」になるというのは、ただたんに防衛庁長官が大臣になって、他の大臣と同格になるという程度の問題ではなく、単独で法案提出を求めて閣議の開催を要求できるようになったり、直接財務省に予算要求ができるようになったりします。さらに、独自の人事も可能になるので、もし「防衛省」になれば、私たちは「軍閥」(軍人派閥)の危険に直面することになります。

「防衛省」法案、国会提出 秋の臨時国会へ継続審議方針(朝日新聞)

「防衛省」法案、国会提出 秋の臨時国会へ継続審議方針
[asahi.com 2006年06月09日17時14分]

 政府は9日の閣議で防衛庁の「省昇格法案」を決定し、国会に提出した。54年に発足した同庁を防衛省に格上げする法案が政府によって提出されたのは初めて。自衛隊の海外活動の本来任務への格上げも盛り込まれた。会期末が18日に迫り、政府・与党は法案を継続審議にして秋の臨時国会での成立を目指す方針。だが、教育基本法改正案など他の重要法案も軒並み先送りされるうえ、処理の優先順位の判断は次の首相に委ねられることになり、省昇格法案の成立の見通しは立っていない。
 安倍官房長官は9日の記者会見で「近年、防衛問題が重要性を増すなか、諸外国と同様に防衛庁を省と位置づけ、各種の事態により的確に対応することは必要なことであり、自然な流れだと考える」と述べた。
 法案は<1>防衛庁を「防衛省」に、防衛庁長官を「防衛相」に格上げする防衛庁設置法改正<2>自衛隊の海外活動を付随的任務から本来任務に格上げする自衛隊法改正――などの一括改正。
 現在の内閣府の外局から独立の省に格上げすることにより、法案提出などの閣議開催の要求や、予算の財務相への要求などが直接可能になる。不審船に対処する「海上警備行動」などの発令の承認を得る閣議の開催も要求できる。同庁は「危機に迅速に対応できる」と意義を強調する。
 本来任務に格上げする海外活動は、自衛隊法で雑則に定められている<1>国際緊急援助活動<2>国連平和維持活動(PKO)<3>周辺事態での後方支援、付則の<4>テロ特措法の活動<5>イラク特措法の活動――などで、国土防衛や災害派遣などと同等の重みを持たせる。
 同法案が成立しても、首相が自衛隊の最高指揮監督権を持つことは変わらない。国内外に根強い慎重意見に考慮し、同庁は「シビリアンコントロール(文民統制)の基本的枠組みは変わらない」としている。
 省昇格法案は64年の池田内閣時にも閣議決定されたが、国会提出は見送られた。01年に旧保守党が議員立法で提出したが、03年の衆院解散で廃案になった。
 政府は公明党の要求を受けて法案の付則に07年度の防衛施設庁解体を盛り込み、了承を得た。

会期末のこの時期に、何を血迷ったのか? とりあえず提出してそのまま「継続審議」扱いにして、秋の臨時国会で成立をはかる、というのは、国会の会期制(国会会期中に成立しなかった法案は原則として廃案にするというルール)を無視するだけでなく、臨時国会になったときには提出した小泉内閣がすでに交代してしまっているという無責任さという点でも、無茶苦茶です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください