東京新聞が、「孤独死」の対応をめぐり、都内の自治体を調査。7割が「孤独死の判断基準がない」「把握する方法がない」などの理由で、「孤独死」した人数の把握さえおこなっていないことが明らかに。
都内自治体の7割「孤独死」把握せず
[東京新聞 2006/06/11朝刊]一人暮らしの高齢者らが誰にもみとられず自宅で亡くなったまま放置される「孤独死」をめぐり、東京都内の全62区市町村のうち7割に上る45自治体が、行政区域内の孤独死者数を把握していないことが東京新聞のアンケートで分かった。少子高齢化が加速する中、自治体の多くが孤独死の実態をつかんでおらず、問題意識の希薄さが浮き彫りになった。
アンケート結果によると、年間の孤独死者数を「把握している」と答えたのは江東、台東、昭島、清瀬、国立、立川、東村山、府中、町田、3鷹、武蔵野、武蔵村山、神津島、新島、御蔵島、青ケ島、三宅の17区市村にとどまった。
このうち、孤独死の発生がなかったなどの島しょ部の4村を除き、十3自治体の孤独死者数は2003年度が計113人、04年度が計97人、05年度が計112人。3年間の総計は322人で、1自治体の年平均は約8人だった。
1方、「把握していない」と答えた自治体が挙げた主な理由は「孤独死の判断基準がない」(小平市)、「統計が求められていない」(東大和市)、「警察、消防が対応するので把握する方法がない」(文京区)、「行政サービスの利用者以外は把握できない」(大田区)などだった。
その半面「孤独死をどう受け止めているか」との質問には、実情を掌握していない自治体を含め、全体の8割近い49自治体が「社会問題であり、対策を講じる必要がある」と答え、関心の高さを示した。利島村だけは「プライバシーの問題であり、対策を講じる必要はない」とした。
この質問には7自治体が「その他」と回答し、うち多摩市は「ニュータウンの急速な高齢化で重要な問題と認識しているが、プライバシーを配慮しながらとなると試行錯誤の状態」との見解だった。北、品川、狛江、奥多摩、青ケ島の5区市町村は無回答だった。
さらに、9割近い55自治体は「孤独死対策に取り組んでいる」と答え、発生状況が分からないまま模索している実情が判明。内訳として最多の53自治体が「緊急通報システム」、51自治体が「民生委員やホームヘルパーによる安否確認」、22自治体が「自治会、町内会などによる安否確認」を挙げた。あきる野、狛江、東大和、御蔵島、三宅の5市村は「取り組んでいない」と答えた。
もちろん、なにをもって「孤独死」とするかという問題や、プライバシーの問題もあるので、何でもかんでも行政に求めるというのは無理かも知れませんが、しかし、一人暮らしの高齢者が病気を誰にも知らせることができず、入院していれば助かったかも知れないのに、そのまま亡くなってしまうというのは、福祉の“抜け穴”であることは確かでしょう。