富士山頂の気象データ途絶える…

東京新聞の夕刊をみて、びっくりした記事。富士山頂測候所での自動観測装置が2系統とも故障し、5月2日以降、データが入らなくなったそうです。

富士山は単独峰のため、世界的にみても、高度気象の観測にはもってこいの場所なのです。そのデータが途絶えてしまった、というのは由々しき事態。大至急復旧作業に取りかかるのはもちろん、このさい、無人化についても見直し、安定的に観測が続けられるような態勢を整えてほしいと思います。

富士山測候所の観測装置 メーン2系統が故障(東京新聞)

富士山測候所の観測装置 メーン2系統が故障
[東京新聞 2006年6月12日付夕刊]

 無人化された富士山測候所で、10分おきの気温や湿度などを測るメーンの自動観測装置が2系統とも故障し、データが途絶えていることが分かった。残る1系統の1時間おきのデータだけで、辛うじて観測を続けている。気象庁は「自動観測技術の進歩で職員常駐は不要」としていたが、度重なる湿度データの異常や“綱渡り”の観測という事態に、その説明が大きく揺らいだ格好だ。
 富士山測候所の観測データは、衛星通信で10分ごとに東京の気象庁に送られていたが、先月2日午前、2系統ともデータ送信が途絶えた。無人のため詳細が分からず、復旧もできないまま、1カ月以上経過している。
 同庁によると、原因は不明。観測装置本体が壊れたのか、通信系の故障なのかも「(職員が現地に)上がらないと分からない」としている。
 ただ、先月2日は上空を強い雨雲が通過中だったため、落雷の影響を受けた可能性があるという。
 データ途絶で、10分おきの気象状況が不明に。残る1系統は毎正時しか観測できず、毎日の最高気温・最低気温・最小湿度が特定できなくなった。
 やむなく同庁は毎正時の中で最高・最低・最小の値を取り、不完全なデータであることを示す「資料不足値」として統計処理している。
 また、5月の月間最高気温・最低気温を出す際にも、完全なデータは途絶前の一日しかないため「欠測率97%」となり、統計に穴があいた。
 残った1系統は無人化当初、予備的に測候所の建物内に設置したもの。屋内では外気の温度や湿度が正確に測れないため、昨年夏に屋外へ移設しておいたことが幸いして、完全に観測が途絶えてしまう最悪の事態は免れた。
 同庁は近く職員を現地へ派遣して、原因調査と復旧を急ぐ。

◆無人化後に相次いだ富士山測候所のトラブル
【2004年】
10月1日 最後の常駐職員が下山、無人に
11月 メーン観測装置2系統のうち1系統が故障、残る1系統で綱渡りの観測に
【05年】
1?3月 湿度データが異常な“多湿”を記録
4月 本紙のヘリ取材で、雪面が観測装置に迫り、避雷針も損壊していると判明
6月 04年11月の落雷で測候所からの送電が止まった東大の電波望遠鏡が閉鎖決定
【06年】
3?4月 05年と同様に異常な“多湿”を記録
4月 本紙のヘリ取材で、観測装置の周辺が分厚い氷雪に覆われているのを確認
5月2日 メーン観測装置2系統ともデータ途絶

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