今年1?3月期のGDPの2次速報値が発表され、実質成長率が年率換算で3.1%へと1.2ポイント上向きに修正されました。これは主には民間設備投資が3.1%増(速報値1.4%増)と大きく伸びたことによるものですが、個人消費も0.5%増(速報値0.4%増)と「堅調」に推移しているということになります。
しかし他方で、5月の消費者の購買意欲を示す消費者態度指数は0.2ポイント減少で、50を割り込み、「横ばい」に。4月の家計消費調査でも、勤労者世帯の消費支出は4カ月連続で前年比マイナスになっていました。また、企業物価指数(むかしの卸売物価指数)は、原油高などを反映して、前年同月比で3.3%と、25年ぶりの大幅上昇。これらをみていると、個人消費は「堅調」とは言ってられない事態です。
GDP年率3.1%に上方修正 1?3月期(朝日新聞)
1?3月期実質GDP改定値、年率3.1%増―速報値は1.9%増(NIKKEI NET)
5月の消費者態度指数50%割れ、基調「横ばい」に下方修正(日経新聞)
5月の企業物価3.3%上昇・25年ぶり伸び率(日経新聞)
GDP年率3.1%に上方修正 1?3月期
[asahi.com 2006年06月12日12時06分]内閣府が12日発表した1?3月期の国内総生産(GDP)2次速報は、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)が前期比0.8%増(年率換算3.1%増)で、5月19日に発表した1次速報の0.5%増(年率1.9%増)から0.3ポイント(年率で1.2ポイント)上方修正した。民間の設備投資が大幅に拡大したことが主因。内閣府は1次速報と同じ「内需、外需がバランスよく成長している」との見方を示した。
景気実感に近い名目GDPも前期比0.4%増(年率1.6%増)で、1次速報の0%(年率0.2%増)から大きく引き上げられた。同時発表された05年度の実質GDP成長率は1次速報の前年度比3.0%増から同3.2%増に修正した。
2次速報の民間設備投資は前期比3.1%増と1次速報での1.4%増から拡大し、実質GDPを0.5%分押し上げた。1?3月の法人企業統計調査(財務省)で分かったリース業やIT(情報技術)関連の製造業での拡大を加味した。GDPの5割強を占める個人消費(民間最終消費支出)も1次速報の前期比0.4%増から0.5%増になった。
物価の総合的な動きを示すGDPデフレーターは在庫品目の構成を変更したことで前年同期より1.2%下落した。下落幅は1次速報より0.1ポイント縮小した。国内需要だけを見たデフレーターは前年同期比0.1%上昇し、04年10?12月期以来5期ぶりに前年を上回った。
1?3月期実質GDP改定値、年率3.1%増―速報値は1.9%増
[NIKKEI NET 2006/06/12]内閣府が12日発表した1?3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.8%増となり、5月19日に発表した速報値(0.5%増)から上方修正となった。年率換算では3.1%増加と速報値(1.9%増)から上方に修正。名目GDPの改定値は前期比0.4%増(速報値0.0%増)、年率では1.6%増(0.2%増)となった。
実質GDPを需要項目別にみると、民間設備投資が前期比3.1%増(速報値1.4%増)、個人消費が0.5%増(同0.4%増)、住宅投資は1.1%増(同1.1%増)だった。
内需の寄与度はプラス0.8%(速報値プラス0.5%)、輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度はマイナス0.1%(同プラス0.0%)。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比でマイナス1.2%(同マイナス1.3%)だった。〔NQN〕
5月の消費者態度指数50%割れ、基調「横ばい」に下方修正
[NIKKEI NET 2006/06/12 15:16]内閣府が12日発表した5月の消費動向調査によると、消費者の購買意欲を示す消費者態度指数は一般世帯で前月比0.2ポイント低下の49.8となった。2カ月ぶりの低下で、50を下回るのも2カ月ぶり。内閣府は消費者態度指数の基調判断について、2005年12月からの「改善している」を「横ばい」に下方修正した。
態度指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目について、消費者に今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化している。5月は4項目のうち、「収入の増え方」以外の3項目が前月を下回った。
基調判断を下方修正した理由について、内閣府は(1)前年同月比の上昇幅が縮小している(2)3カ月移動平均が横ばいとなった――ことなどを挙げてる。態度指数を前年同月と比較すると、05年12月から06年4月まで2ポイント台の上昇幅が続いていたものの、5月は1.5ポイント上昇となり、上昇幅が縮小した。〔NQN〕
5月の企業物価3.3%上昇・25年ぶり伸び率
[NIKKEI NET 2006/06/12 10:07]日銀が12日発表した5月の国内企業物価指数(2000年=100)は100.6で、前年同月比3.3%上昇した。原油や銅など非鉄金属の価格高騰に伴い、第二次石油危機の末期である1981年以来、25年2カ月ぶりの高い伸び率となった。指数の絶対水準が100台に乗ったのは5年9カ月ぶりになる。
国内企業物価は出荷や卸売り段階での企業間の取引価格を表す指数。大幅な上昇は最終製品にも今後、価格上昇が波及していく可能性が大きいことを意味する。
品目別にみると銅製品などの非鉄金属が前年同月比63.4%と大幅な上昇となったほか、原油価格の高騰に伴い石油・石炭製品が同20.6%上昇し、全体を押し上げた。原油価格は4月下旬に1バレル75ドル台の史上最高値を記録。5月分のガソリン価格の上昇につながった。
需要段階別でみると、国際商品相場の高止まりを受けて素原材料は前年同月比20.8%上昇、中間財も同6.2%上昇した。ただ携帯電話機などを含む最終消費者に近い最終財は、同0.2%と小幅な上昇にとどまっている。