厚労省が有期契約労働者の実態調査

厚生労働省が始めておこなった「有期契約労働に関する実態調査」の結果が明らかに。

厚生労働省発表の「調査結果」の概況はこちら
厚生労働省:平成17年有期契約労働に関する実態調査結果の概況

<パート労働者>4割が「正社員の職がない」 厚労省初調査(毎日新聞)

<パート労働者>4割が「正社員の職がない」 厚労省初調査
[毎日新聞 6月15日11時20分更新]

 フルタイムで働くパート労働者の約4割が「正社員の職がない」を理由にしていることが、厚生労働省が初めて行った有期契約労働者の実態調査で明らかになった。
 調査は、派遣社員を除く契約社員や嘱託、短時間パート、フルタイムパートを雇用する事業所に実施し、約1万2489人と8324事業所から回答を得た。有期契約労働者を雇用している事業所は約5割で、社員に占める割合は約25%。短時間パートが31.9%と最も多く、フルタイムパート(17.5%)、嘱託(13.7%)、契約社員(12.1%)の順だった。
 「正社員として働きたいが職がない」が、フルタイムパートで37.5%、短時間パートで17.9%だった。フルタイムパートの男性のうち、20歳代が30%を超え、若者に正社員の門が狭いことをうかがわせた。フルタイムパートでは正社員との賃金格差について「低くて納得できない」との回答が33.8%に上り、パートの賃金で生活しているとしたのは53.6%だった。【東海林智】

調査結果は詳細に研究してみる価値あり。

まず事業所調査の方から。

この調査では、有期労働のカテゴリーの1つとして「その他のパートタイマー」というのがあります。「短時間パートタイマー」が「正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない者」を指すのに対し、「その他のパートタイマー」は「正社員と1日の所定労働時間と1週の所定労働日数がほぼ同じで、パートタイム労働者その他これに類する名称で呼ばれる者」のことです。(「有期契約」のカテゴリーとしては、ほかに、契約社員、嘱託社員などがあります。しかし、派遣社員は調査対象になっていません)

この「その他のパートタイマー」を使っている事業所は17.5%。有期契約労働者を雇用しているという事業所の3割強を占めます。この「その他のパートタイマー」の契約期間は50.3%「6カ月超?1年以内」。ところが実際の勤続年数は57%3年以上。この“ズレ”はいったい何を意味するのでしょうか?

また、60.8%業務の恒常性が正社員と同じで、49.8%1日の所定労働時間も同じ。さらに45.2%仕事の専門性は正社員と同じ31.4%仕事の責任も同じ。にもかかわらず、42.9%昇進・昇格の評価制度なしで、35.0%は評価制度はあるものの正社員とは別制度になっています。要するに、正社員と同じ時間働いて、同じ専門性、同じ責任を果たしているにもかかわらず、同じ評価をしてもらえないということです。これって、あからさまに、「パートタイマー」という名前の差別じゃないでしょうか?

次に個人調査。

なぜ有期契約労働を選んだのか、という理由を尋ねた調査です。それをみると、その職種の場合「有期契約という働き方が一般的だから」が26.8%(有期契約労働者全体に占める割合)でトップですが、25.9%「正社員として働きたいが、働ける職場がないから」。また、21.3%は、個人的な事情で勤務時間・日数を短くせざるをえないけれども、できれば「正社員として働きたい」と回答しています。

こうやって眺めてみると、「有期契約という働き方が一般的だから」という回答の中にも、本当は正社員として働きたいという人が相当含まれいてるのではないかと思えてきます(もちろん、証拠はありませんが)。何にせよ、現在有期契約で働いている人の多数は、正社員として働くことを希望している、ということは間違いありません。ここにも、正社員と有期契約という、働く側の希望と現実のズレがはっきり示されているのではないでしょうか。

【契約期間を定めて就業している理由】

現在従事している職種の場合、有期契約という働き方が一般的だから 26.8%
正社員として働きたいが、働ける職場がないから 25.9%
正社員として働きたいが、個人的な事情により勤務時間、日数を短くしたいから 21.3%
契約期間が自分の希望にあっていたから(期間満了後はやめられるから) 17.3%
有期契約の方が賃金など待遇がよいから 6.2%
定年まで同じ会社に勤めたくないから(1つの会社に縛られたくないから) 2.2%

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