ノート:宮地正人『日本通史<III> 国際政治下の近代日本』(1)

故あって、宮地正人『日本通史<III> 国際政治下の近代日本』(山川出版社、1987年)を読み始める。19年前の本だけれども、日本の近現代史を一つの立場で俯瞰してみせた希有な通史として、いろいろと勉強になる。

本巻のはじめに

ここでは、宮地氏の基本的な視点が明らかにされている。

(2)

  • 「基本的歴史動向の論理的展開の追及」
  • 「近現代史においては、……政治過程への言及が中心とならざるをえない」
  • 幕末から現在まで、日本の歴史は「すぐれて国際政治の枠組みの中で国内政治を展開してきた」。し、「国際政治での枠組みを決める過程」が同時に「国内政治の基本動向を決定してゆく過程」でもあった。ここに「国際政治下の近代日本」という視点が貫かれている。
  • 民衆レベルでも「地域世界の視座」なしには、支配勢力の国際政治を利用した国内政治操作を見抜くことができない。

(3)

  • 支配勢力側から言えば、社会への政治の新党の仕方=国民統合、社会統合が大きな問題になる。
  • 裏返しに言えば、「民衆の抱えている社会的矛盾が、いかなる媒介物と理論によってはじめて政治的なものに成長転化してゆくか」という問題。民衆が英知を働かせる場であり、同時に、支配勢力の「政治」がはたらく場でもある。

以上、本書3?4ページから。

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