米軍の判断だけで迎撃

米軍が沖縄の米軍基地に配備しようとしている地上発射型迎撃ミサイル(PAC3)について、米軍だけで発射できることが明らかに。

こうなると、地元の問題だけではありません。文字どおり、日本の国家主権にかかわる重大問題です。

在日米軍「PAC3」 米側のみに発射権限(中日新聞)
米軍パトリオット 嘉手納に年内配備 地元議会 撤回求める決議(西日本新聞)

在日米軍「PAC3」 米側のみに発射権限
[中日新聞 2006年7月3日]

 米軍再編の最終報告を踏まえ、月内にも米国が在日米軍基地に配備する地上発射型迎撃ミサイル「PAC3」の運用について、日米間の取り決めがなく、発射の決断は米側に委ねられていることが分かった。日本政府の了承なしに迎撃に踏み切れば、日本の主権が侵害されるだけでなく、PAC3が落下した場合には2次災害の補償をめぐる問題も浮上する。北朝鮮が「テポドン2号」の発射を準備する中、日米連携を強調した米軍再編は課題を置き去りにしたまま進んでいる。
 PAC3の在日米軍基地への配備と早期運用は、5月に日米が合意した米軍再編最終報告に示された。北朝鮮が「テポドン2号」発射の兆候をみせたことから、米側は配備を急ぎ、月内にも沖縄県の米空軍嘉手納基地に4個高射隊24基を配備する計画でいる。
 「装備の重大な変更」に該当する場合は、日米安保条約に基づく日米の事前協議が必要だが、日本政府は今回の配備に注文をつけない方向だ。
 PAC3による迎撃には、日本政府の要請や承認を必要とするのか、米軍の意思だけでよいのかなど、日米間の取り決めが存在しない。
 航空自衛隊が来年3月から配備するPAC3については昨年、自衛隊法が改正され、「発射の兆候」を捕捉した時点で首相の承認を得て迎撃することなどが規定された。だが米軍を日本の国内法で縛るのは無理があり、当面は米軍の判断ひとつで発射できる状況だ。
 PAC3は発射されると基地を大きく飛び出して弾道ミサイルを迎撃。外れた場合は自爆し、命中した場合でも金属破片が地上に落下する。

米軍パトリオット 嘉手納に年内配備 地元議会 撤回求める決議
[西日本新聞朝刊 2006年07月01日00時24分]

 在日米軍再編に伴う日米両政府の協議で、米側が、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に配備する方針を伝えたことが分かった。8月にも沖縄県内への搬入を開始し、年内に配備を終える予定。政府関係者が明らかにした。
 PAC3は、敵の弾道ミサイルを海上でイージス艦が破壊できない場合、地上から発射して落下直前に迎撃する防衛システム。5月に日米両政府が合意した米軍再編の最終報告には「米軍のPAC3が在日米軍の既存の施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となる」と明記している。
 政府関係者によると、PAC3は計24基を嘉手納基地に配備。これに伴って、米兵約600人が沖縄県内に新たに駐留する予定。7月にも先遣隊が現地入りして、具体的な配備位置などを調査するという。
 これに対し、同基地の地元の嘉手納町、沖縄市、北谷町でつくる3市町連絡協議会は28日、配備に反対する声明を発表。嘉手納町議会は30日の臨時議会で、配備計画の撤回を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。決議は「町民はF15戦闘機の各種事故、度重なる爆音激増など、さまざまな基地負担を強いられてきた。これ以上の負担増は絶対容認できない」としている。
 宮城篤実町長は「国からは、米側と協議中というだけで説明は一切ない。訓練の激化など基地被害が強まる可能性があり、容認できない」と語った。

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