下請け、孫請けの責任ばかりでなく

埼玉県ふじみ野市の市営プールの痛ましい事故。市から管理を委託されていた業者が孫請けに丸投げしていたということで、下請け、孫請けの無責任ぶりが大きな問題になっています。

しかし、そもそも吸水口のさくは、6年前から針金で仮留めしただけであったらしいことが明らかになっています。2001年には、厚生労働省が吸水口には頑丈なさくを設けて、ネジやボルトで固定させるように、自治体に通知を出していた訳で、この時点で、自治体(旧大井町)はいったい何をしていたのか? ということが当然問題になるのではないでしょうか。

なんでも民間委託ばやりの昨今ですが、管理を民間に委託するのであれば、どのようにして自治体が管理に責任を持つのか、そこをはっきりさせなければなりません。管理責任まで民間業者に任せたのでは、それこそ“丸投げ”。それこそ、無責任の批判はまぬかれません。

針金留め「6年前から」 緊急時対応定めず プール事故(朝日新聞)?
プール事故防止の「衛生基準」、厚労省が徹底通知(読売新聞)

針金留め「6年前から」 緊急時対応定めず プール事故
[asahi.com 2006年08月02日22時07分]

 埼玉県ふじみ野市の市営プールで、同県所沢市の市立小手指小2年戸丸瑛梨香さん(7)が死亡した事故で、瑛梨香さんが吸い込まれた吸水口のさくが約6年前から針金で仮留めされていたことが2日、県警の調べや会社関係者の話で分かった。事故のあった吸水口については、今年7月15日のプール開きの前にも、針金を取り換えるなど仮留めが常態化し、さくが外れた時の対応もマニュアルで定めていないなど、ずさんな管理体制が浮き彫りになった。
 文科省の通知や、埼玉県のプール維持管理指導要綱では、吸水口のさくはボルトやネジで固定するように定められている。
 プールを実質的に管理運営していた「京明プランニング」(さいたま市見沼区)の佐藤昇社長によると「6、7年前に同社社員の現場責任者から『吸水口のさくでネジが入らない部分があるので、針金で留めている。異常な状態だ』と報告があった」という。プール側面の穴とさくの穴が合わなかったことが原因で、「適切な対応をするように」と同社長から現場責任者の社員に指示しただけで、その後、確認しなかったという。
 佐藤社長は「さくが一度も外れたことがなかったので、危険は認識していなかった」「(ネジの穴が合わないという)不具合は市と協議して直すものだと認識している」と話したが、市に報告したかどうかについては明言しなかった。
 県警の調べに対し、同社の現場責任者は「今年の開業前に点検したところ、針金がさびていたので、新しいものに取り換えた」と話しているという。
 責任者の話では、瑛梨香さんの事故があった当日は3カ所の吸水口に取り付けられている6枚のさくのうち5枚が針金で仮留めされていた。事故のあった吸水口のさくは四隅とも針金による仮留めで、プール側の穴の1カ所には黒く変色し、途中で切れた針金が残っていたという。県警は裏付け捜査を進めている。
 元請けの太陽管財(さいたま市)によると、針金はマイクのコードぐらいの太さ。プール側面の穴とさくの穴を一重に巻いて、ペンチで5、6回ねじって吸水口の方向に向けていたという。
 同社の前に00年の1年間、管理を受託していた東京都内のプール管理会社によると、プール開業前にさくにネジがついていないことに気づき、当時の管理責任者だった旧大井町に指摘し、ネジで固定したという。

プール事故防止の「衛生基準」、厚労省が徹底通知
(2006年8月2日1時15分 読売新聞)

 埼玉県ふじみ野市の市営プールで、小学2年生の女児が吸水口に吸い込まれて死亡した事故で、厚生労働省は1日、事故防止策を盛り込んだ「衛生基準」の周知を徹底するよう、全国の自治体に通知した。
 この衛生基準は、2001年7月に通知したもので、〈1〉吸水口に、頑丈な格子状の鉄ぶたや金網を設けて、ネジ、ボルトなどで固定させる〈2〉ふたを固定する際は、触ったり、たたいたりして、ふたやボルトに欠陥がないかを確認する――などを求めている。
 厚労省は「この基準が守られていれば、今回の事故は起きなかったはず」とし、改めて基準の順守を要請した。
          ◇
 文部科学省も1日、各都道府県教委などに対し、学校のプールと公営プールについて、排水口のフタがきちんと固定されているかなどを調べ、報告するよう求める通知を出した。
 各教委所管の公営プールと公立学校のプールについては4日、所管外の公営プールと国立、私立学校のプールについては18日を回答期限とし、調査結果を公表することにしている。

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