「亀山ブランド」 労災飛ばしと偽装請負

「亀山ブランド」で人気のシャープ亀山工場で、工場内で労災事故が起こったにもかかわらず、シャープ工場外で事故が発生したように偽った報告書が提出されていたことが明らかに。いわゆる「労災飛ばし」ですが、労災を隠すのは罰金50万円以下の犯罪です(労働安全衛生法第120条)。

労災、場所偽り報告 シャープ下請け会社(朝日新聞)

しかもこの労働者の場合、シャープ→元請け→1次下請け→2次下請け、という3重の請負関係のもとにあり、なおかつ、工場ではPHSを持たされて、シャープの社員から直接指示を受けていたそうで、「偽装請負」の可能性もあります。

労災、場所偽り報告 シャープ下請け会社
[asahi.com 2006年08月12日06時27分]

 液晶テレビを作るシャープの亀山工場(三重県亀山市)で04年3月に全治約1カ月の労災事故が起きたのに、シャープの工場ではない場所で事故が発生したように偽った「労災とばし」の報告書が下請け会社によって作成され、労働基準監督署に提出されていたことがわかった。けがをした男性(43)は、多重な偽装請負のもとで働いており、三重労働局が実態調査に入る。
 偽装請負は安全に関する責任の所在がメーカーと請負会社の間であいまいになり、労災隠しや労災とばしが起きやすいといわれている。
 事故があったのは、亀山工場内でパネル材料や薬剤を運ぶ工程。契約の上では、シャープはこの業務を元請けの「日新」(横浜市)に委託し、元請けは1次下請けの「光明」(埼玉県狭山市)に、さらに1次下請けは2次下請けの「アサヒサービス」(愛知県安城市)に請け負わせた。けがをした男性は2次下請けに雇われていた。
 しかし、1次下請けも2次下請けも男性を自社の指揮命令下に置いておらず、人材派遣をしただけの「偽装請負」だったことが朝日新聞社の調べで明らかになった。その場合、男性は元請けかシャープの指揮下にいたことになる。
 男性は作業の際、PHS(簡易型携帯電話)を渡され、シャープの正社員から頻繁に具体的な指示を受けていたといい、偽装請負にシャープも関与していたと主張している。
 これに対し、シャープは「元請け会社の責任者に指示していたつもり。男性に直接指揮命令したとの認識はない」と偽装請負への関与を否定している。
 男性は04年3月22日、パネル材料の束(幅2メートル、奥行き1.2メートル、高さ1.2メートル)にかけられたシートをはずそうとして、作業台から転落し、胸の骨が折れる全治29日のけがを負った。
 男性によると、事故当初、直接の雇用関係のない元請けから「自分の国民健康保険で診療を受けてほしい」と指示された。男性は「労災扱いにならないのはおかしい」と抗議。その後、労災扱いに切り替えられたが、2次下請けの担当者から「シャープに迷惑はかけられない。事故は1次下請けの事業所で起きたことにする」と口裏合わせを求められたという。
 報告書を作った2次下請けの担当者は「下書きではシャープと書いたが、上司に書き直しを命じられた」と話した。
 シャープは、労災とばしについて「行政へは請負会社が届けており、事実と異なる届け出がおこなわれていたとは知らなかった」と話している。

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