「朝日新聞」は、8月15日、靖国神社境内での取材を拒絶された。理由は、11日の「朝日新聞」に載った記事だという。どんな記事かと思ってみれば…
靖国神社 懐寒し
[朝日新聞 2006年8月12日付朝刊・14版]A級戦犯をめぐる分祀論や小泉首相の参拝をめぐって政治の風に翻弄される靖国神社(東京都千代田区)が、財政面でも逆境にさらされている。戦争世代の減少で大口の寄付が先細りする中、「遊就館」改修などの大型事業も響いており、職員の欠員補充を控えるなどリストラを進めている。(臼井昭仁)
戦争世代亡くなり…細る寄付 「リストラを進める」
「現状を考えれば、引き締めをしていかなければならない」
3月に開かれた崇敬者総代会。南部利昭宮司は今年度の予算について、こう説明したという。
今年度の予算は前年度比約5%減の約18億円。この5、6年は、旧日本軍の戦闘機などが展示されている「遊就館」の増改築など創立130周年記念事業(総事業費約83億円)のため、予算が膨れていた。
神社の収入は、(1)さい銭や寄付、玉串料といった宗教活動による収入と、(2)不動産貸し付けなどの収益事業からなる。 神社の収支は公表されていないが、複数の関係者によると、85年当時は年約32億円あった収入は、企業からの寄付や慰霊祭などが減ったことにより、半分程度に落ち込んでいるという。
このため、欠員が出ても補充しない▽業務の一部を外部へ委託▽補修などの工事は複数から見積もりを取り、入札にする――などのリストラ策を進めており、20年前には130人いた職員も今や100人を切るという。
総代の一人は「予算や事業計画の説明には相当な時間がかけられている。危機感の強さを感じる」と話す。
収入減の大きな理由は、全体の7、8割を占める(1)のうち、戦争世代が亡くなっていく中で、大口の寄付が激減していることだ。
「毎年100万円単位で奉納していた中小企業の経営者が亡くなって息子の代になると、関心がないため寄付をいただけなくなります」と、ある総代は打ち明ける。
このところ、参拝者の増加で小口のさい銭収入は増えているものの、戦友会の解散や遺族が亡くなるなどのため、慰霊祭(戦友会だと祭祀(さいし)料3万円から)や永代神楽祭(初回10万円から)も大幅に減っている。関係者は「かつては春、秋の例大祭になれば拝殿は満杯になりましたが、この数年は空席だらけです」と嘆く。
売店やビルの賃貸料、駐車場収入、遊就館の入場料などからなる収益事業も落ち込んでいる。帝国データバンクによると、申告所得額が96年は約4億円だったが、05年は2億3500万円に。神道系の宗教法人では3位だが、1位の明治神宮の5分の1以下だ。ビルの賃貸料が引き下げられているのが響いているという。
神社を支える崇敬奉賛会の会員も減り続けている。奉賛会の年会費は3000円で、会費の剰余金を神社に納めている(05年度分、約1億3600万円)。02年度の9万3000人をピークに、05年度は8万人に。会員の7割は70歳以上で、主に死亡などによる退会で毎月1000人ずつ減っているという。
ある総代は言う。
「リストラを進め、コストを減らす一方、ビルを建て替えて賃料収入を増やすことも検討していい。ただ、どんなに財政状況が厳しくなっても、取りざたされているような宗教色をなくすという選択肢は考えられない」
実際の記事には、これに「靖国神社が所有する主な不動産」と「売却した主な土地」という表、それに地図がついています。表には、職員寮やアパートの所在地(といっても番地までは書かれてませんが)が載っていて、それが「行き過ぎだ」と言いたいのかも知れません。
ま、職員寮の所在地などはともかく、靖国神社の収入が減っていることはよく知られた事実。そのために、同神社が土地の切り売りをしてきたことも周知のこと。現在は、戦争直後に、「英霊」の「御霊」を招き寄せる「招魂祭」という、それこそ靖国神社の「教義」の根本にかかわる「神聖」な儀式をおこなった場所さえも、駐車場にして貸し出していることも、これまた周知のことがらです。
ネットで見るなら↓
靖国神社が財政難 戦争世代減り寄付激減(朝日新聞)