テリー伊藤氏が、小泉首相の靖国参拝をめぐるテレビ報道について、毎日新聞の夕刊にこんなことを書いている(2面「テリー伊藤の現場チャンネル」)。
いったい、テレビは、小泉さん1人に朝からこれほどまで踊らされる必要があったのだろうか。
(中略)
日本国総理大臣の思想信条というよりも、小泉さん個人の維持でやっているとしか思えない行動をここまで過剰に報道するべきだったのだろうか。空撮映像まで含めたあらゆる角度からの映像とそれに重ねた音響、リポーターやアナウンサーやコメンテーターの声高ぶり…。どれをとっても過剰な演出。あの瞬間のテレビには「冷静」という2文字がどこにもなかった。
(さらに中略)
ハイテンションな放送を送り届け、それをそのまま国家を二分する議論につなげるかのようなテレビの方法論は得策か。私はどうしてもそう思えない。こうしたテレビの首相参拝中継は、国民が靖国問題を自分自身の問題として考えることをむしろ難しくしているのではないか。
さらに、小泉政治の手法についても、こんなふうに書いている。
小泉首相という人は歴代の首相のなかでも、緊急生放送で全局制覇をするのがもっとも得意な人だった。訪朝といい、郵政解散といい、靖国参拝といい、テレビを振り回すのが小泉さんの真骨頂のひとつだった。
どのチャンネルをひねっても同じ映像が流れていると、国民は「大事が起きた」と感じる。小泉首相はテレビを通して大事を起こすことによってのみ、その存在価値を高めてきたといえる。
テリー氏が靖国問題についてどのように考えているのか知らないし、日頃、ブラウン管でみかけるテリー氏の言動には疑問をいだくことが多かったが、この指摘はなかなか的を射ていると思う。