惑星の定義 ただし太陽系についてのみ

結局、冥王星を「惑星」の定義から外すことで、こんご惑星が増え続けることを避けた、ということですが、この定義は、実は、「太陽系の惑星」の定義でしかありません。太陽系以外の恒星の惑星については何も定義していない訳で、その意味では、非常に便宜的なものだといえます。

冥王星を惑星から除外、太陽系8惑星に 国際天文学連合(中日新聞)

冥王星を惑星から除外、太陽系8惑星に 国際天文学連合
[中日新聞 2006/08/25]

 【プラハ=共同】プラハで開かれている国際天文学連合(IAU)の総会は24日、従来の太陽系惑星9個から冥王星を除外し、水星から海王星までの8個とする新しい定義の決議案を出席者の賛成多数で可決した。
 冥王星は他の8惑星より格段に小さい上、軌道が傾いていることや、似たような大きさの天体が1990年代以降、次々に見つかっていることが決め手になった。1930年に発見されてから76年、なじみ深い“第9惑星”が格下げされる歴史的決定で、教科書の書き換えなど教育、文化の多方面に影響が及びそうだ。
 総会ではまず、太陽系惑星を“水金地火木土天海”の8個とし、これらより小さい冥王星はその他のいくつかの小さな天体と合わせて「矮(わい)惑星」という新分類に入れるとの1つ目の決議案が挙手で可決された。
 次いで、冥王星を含む矮惑星を惑星の一種として認める2つ目の決議案についても協議したが、こちらは採決の結果、否決された。
 この2つの採決により惑星は海王星までの8個で、冥王星を含む矮惑星は太陽系惑星から除外されることが確定した。
 これまで見つかった小天体が矮惑星にどこまで含まれるかは今後、同連合内でさらに協議して決める。
 総会では当初、従来知られている水星から冥王星までの9惑星に、火星と木星の間で見つかり小惑星とされてきた「セレス」、冥王星の衛星とされていた「カロン」、米国が昨年発見し“第10惑星”と主張した「2003UB313」を新たに加え、十二個とする決議案の原案が示された。
 しかし、冥王星を惑星として残すことや、カロンを格上げすることに異論が続出。修正を余儀なくされた。

◆冥王星除外 専門家の共通見解 惑星への関心は深まる

 プラハでの国際天文学連合(IAU)総会の結論は、冥王星が太陽を回る主要な8惑星とは異なる天体であると結論づけた。「惑星は8個と考えるのが分かりやすい」(名古屋市科学館の毛利勝広学芸員)という見方が、多くの専門家の共通した見解だったということだ。
 水星から海王星までの8惑星は、冥王星など海王星の外側にある天体とは大きく違う性格を持っている。まず、8個が太陽ができた直後に同じメカニズムでできたと考えられるのに対し、冥王星などは別のメカニズムで生まれた。また、8個の公転軌道が黄道から大きく傾いていないのに対して、冥王星はずれているうえに極端な楕円(だえん)だ。さらに大きさも、冥王星などは地球の月よりも小さい。
 しかし今回、議論は紛糾した。1930年に冥王星が発見されて以降、70年以上にわたって惑星の仲間とされてきた歴史がある。冥王星の発見国の米国の研究者が惑星であると強く主張したともいわれる。
 今回の議論のおかげで、一般国民の惑星への関心が深まった。天文ファン向けの月刊誌「星ナビ」編集部の川口雅也さんも「太陽系が8惑星だけでできているのではないことをふまえ、太陽系への理解を深めたい」という。
 しかし、定義が変わったことから教科書など大きな影響を受けるところもある。国立天文台天文情報センターの縣秀彦助教授は「科学館の展示や図鑑、教科書などで記述の変更や修正が必要になるだろう」。国立科学博物館理工学研究部の西城恵一さん(天文担当)も「パネル解説を付けるなど、決まったことを展示に反映したい」と話している。

 【冥王星】 1930年に米国人天文学者が発見し、太陽系の第9惑星と認定された。直径約2400キロで、軌道はほかの惑星と違い、約17度も傾いた非常に細長い楕円(だえん)。公転周期は約248年。発見時は海王星級の大きさと推測されたが、実際はその約20分の1で月よりも小さいことが判明。92年以降に似た軌道を回る直径数百キロの天体が次々に発見され、専門家から「惑星ではない」との意見が噴出した。太陽系の従来の惑星の中で唯一、未探査で、今年1月に米航空宇宙局(NASA)が2015年の最接近を目指し無人探査機を打ち上げた。
 【国際天文学連合(IAU)】 天文学を保護、発展させることを目的に1919年に世界の天文学者が設立した国際組織。本部はパリ。天体の命名などを認定するほか、3年ごとの総会で天文学に関する事項を決議する。現在、85カ国の天文学者が参加し、日本の会員は約500人。

太陽系の惑星の定義の詳細については、以下の通り。問題は、「その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である」という項目。これだと、新惑星?と思われる天体が見つかっても、その軌道の近くに同じような天体がないかどうかシラミ潰しに探しつくしてからじゃないと、新惑星と認定されないことになります。大変だぞ? あと、二重惑星が認められなくなるけど、それでいいのかなぁ。

【速報】太陽系の惑星の定義確定

国際天文学連合:太陽系における惑星の定義

 現代の観測によって惑星系に関する我々の理解は変わりつつあり、我々が用いている天体の名称に新しい理解を反映することが重要となってきた。このことは特に「惑星」に当てはまる。「惑星」という名前は、もともとは天球上をさまようように動く光の点という特徴だけから「惑う星」を意味して使われた。近年相次ぐ発見により、我々は、現在までに得られた科学的な情報に基づいて惑星の新しい定義をすることとした。

決議

国際天文学連合はここに、我々の太陽系に属する惑星およびその他の天体に対して、衛星を除き、以下の3つの明確な種別を定義する:

  1. 太陽系の惑星(注1)とは、(a)太陽の周りを回り、(b)じゅうぶん大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、(c)その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。
  2. 太陽系のdwarf planetとは、(a)太陽の周りを回り、(b)じゅうぶん大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c)その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。
  3. 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodiesと総称する。
  • 注1: 8つの惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。
  • 注2: 基準ぎりぎりの所にある天体をdwarf planetとするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
  • 注3: これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む。

冥王星についての決議

国際天文学連合はさらに以下の決議をする:

冥王星は上記の定義によってdwarf planetであり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。

ちなみに、冥王星という和名は、星の和名や星座の民俗についての研究家・野尻抱影氏が命名したものです。

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