子連れ請負

今週の「しんぶん赤旗」日曜版(8月27日号)に載っていた記事です。最近、“請負”の悲惨な労働条件については、「朝日新聞」などでも取り上げられていますが、それはほとんど単身者の場合。

それにたいし、日曜版で紹介されているのは、子連れや夫婦、カップルの請負労働者の実態です。子どもを連れて、数カ月ごとに就業先を転々とする生活…。単身者の請負以上に厳しい生活です。

ある女性は、一人の子どもを抱えて、数ヶ月ごとに請負会社や工場を渡り歩く。健康保険や年金もなし、多くは「偽装請負」です。4カ月働いたトヨタ関連の部品工場を7月末に辞めたところ、次の仕事が見つからず、残業代込みで15万円の収入がなくなって、知人から1000円、2000円と借金してその日を乗り切る生活だといいます。請負会社直営の保育所に子どもを預けたときは、10日で5万7000円もかかりました。残業代込みで月手取り15万円では、とても子どもを預け続けることはできません。

ある保育園では、大手精密機械工場の請負で働く女性の子どもを預かっていたけれど、住民票もなく、「1カ月だけ」という約束だったといいます。請負会社が借り上げているアパートでは、空き部屋だったところから、ある日突然赤ん坊の鳴き声が聞こえだしたかと思うと、1カ月で聞こえなくなる、とも。

愛知県豊川市で起きた児童虐待死の事件のケースでは、夫婦とも請負労働者。就業先が変わるたびに住所を転々とし、3カ月前に豊川市に引っ越してきたばかり。住民票もないため、行政では「手の打ちようがない」といいます。また、自治体や児童相談所の窓口には、最近、「仕事のじゃまになる」といって乳児院や児童養護施設に入れてほしいという請負からの相談が増えているといいます。

ほかにも、「月30万円を超える」という広告で、沖縄から愛知県に“出稼ぎ”にやってきた婚約中のカップルのケースでは、実際の手取りは17?18万円。健康保険や年金にも入れてもらえず、深夜残業代の割増分もごまかされていたそうです。

増加する児童虐待の背景に、こんな事態が広がっているとしたら…。まったく恐ろしいとしかいいようがありません。夫婦共働きしても、子どもを保育所に通わせることさえできない程度の収入というのは、まったく異常です。

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