安倍官房長官は、実は男子誕生が分かる前から「皇室典範に関する有識者会議」の報告書の「白紙化」を決めていたそうな。吉川弘之氏にしても、こんなに簡単に取り消されるとは思ってなかったでしょうねぇ…。1995年の「村山談話」についても、「歴史的な談話」として棚上げしてしまうつもりらしい。
<皇室典範>「女系容認、白紙に」今春段階で安倍氏(毎日新聞)
村山談話踏襲、明言せず 安倍氏、大戦評価「歴史家に」(朝日新聞)
<皇室典範>「女系容認、白紙に」今春段階で安倍氏
[毎日新聞 9月7日3時7分更新]安倍晋三官房長官が今春段階で、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」がまとめた女性・女系天皇容認の報告書について、首相就任後には白紙に戻す方針を固めていたことが6日、分かった。安倍氏に近い複数の関係者が明らかにした。秋篠宮妃紀子さま(39)の男児出産を受け、男系維持の考えが広がる中、安倍氏が早くから白紙化を考えていたことにより、次期政権が典範改正に消極姿勢を取るのは確実だ。
この方針は、自民党総裁選に向けた政権構想を協議する側近議員らとの会合で示された。安倍氏は報告書の白紙化に言及したうえで「最初から議論をやり直した方がいい」と語ったという。
この段階では秋篠宮家のお子さまの性別は分かっていなかった。男児誕生により、安倍氏は首相就任後、報告書に沿った政府の検討そのものをいったん凍結、再検討が必要かどうかは自民党内の議論や世論を見極めて判断するとみられる。
安倍氏は男系維持派と目されており、紀子さまの懐妊判明を受け、首相に典範改正案の国会提出を見送るよう進言した。6日の記者会見でも「皇室典範の改正は極めて重要な問題なので、慎重に冷静に議論をしていかなければならない。国民的なコンセンサスを得られる案を作っていく必要がある」と強調した。【中西拓司】
村山談話踏襲、明言せず 安倍氏、大戦評価「歴史家に」
[asahi.com 2006年09月07日00時10分]安倍官房長官は6日、朝日新聞などのインタビューに応じ、「植民地支配と侵略」を反省し、謝罪した95年の村山首相談話について「歴史的な談話だ」としつつ、自らの政権で「村山談話」を踏襲するかどうかについては、「次の内閣では、その内閣において過去の戦争についての認識を示すべきではないかと思う」と明言を避けた。安倍氏は昨年10月の官房長官就任以降、先の大戦に対する評価を避けており、首相就任後も「歴史家に委ねる」との従来の姿勢を続ける考えを示したものだ。
村山談話は、過去の「植民地支配と侵略」について「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」として「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明している。小泉首相も国会答弁で、村山談話について「同じ認識を共有している」と明言している。
しかし、安倍氏は村山談話や、談話をもとに歴代首相が謝罪を繰り返してきたことへの違和感を周辺に漏らしてきた。
6日、インタビュー直後の記者会見で、新たな歴史認識を出す場合、どのような形式を考えているかを問われ、安倍氏は「村山談話は歴史的な談話になっている。さらに何か談話を出すことは必要ないのではないか。歴史認識については本来、歴史家に任せるべきものではないか」と語った。自らの歴史認識を談話の形で示す考えはないことを明らかにしたものだ。
さらに「村山談話を踏襲しないのか」と問われ、安倍氏は「(談話が)戦後50年の終戦記念日に、政府として内外に示したものであるということは、その通りだ」などと述べるにとどめた。
歴史教科書の検定をめぐって近隣国に配慮するとした政府の「近隣諸国条項」については、「近隣諸国がどういう感情を持っているか、頭に入れながらということになる。今、その条項を直ちに廃棄するということは考えていない」と述べた。