CIAがテロ容疑者などを極秘に拘束した収容施設が存在したことを、ブッシュ大統領が初めて認める。
米大統領、CIAの極秘収容施設の存在初めて認める(読売新聞)
米大統領、CIAの極秘収容施設の存在初めて認める
[2006年9月7日11時42分 読売新聞]【ワシントン=五十嵐文】ブッシュ米大統領は6日、ホワイトハウスで演説し、国際テロ組織アル・カーイダの容疑者らを米国外で極秘に拘束するCIAの収容施設の存在を初めて認めた。
また、アル・カーイダの幹部で、米同時テロの主犯格ハリド・シェイク・ムハンマド容疑者を含むテロ容疑者14人を、秘密収容施設からキューバのグアンタナモ米海軍基地に移管したことも明らかにした。
秘密収容施設をめぐる疑惑に関しては、欧州や国連からも国際法違反とする批判が強まっていたが、米政府は施設の有無を含め態度を明確にしてこなかった。
大統領は6日の演説で、CIAの秘密作戦を通じてテロ容疑者から得た情報によって、米国を狙った別の航空機テロや、炭疽(たんそ)菌を使った生物兵器テロなど、アル・カーイダや関連テロ組織が進めていた多くのテロ計画を阻止したと強調した。
ただ、「作戦で多くの市民の命が救われてきた」として、今後も施設は閉鎖しない方針を表明した。
また、施設の具体的な場所も明らかにせず、容疑者を自白に追い込むための特別の聴取法が採用されていたとの疑惑については、「厳しいが、安全で合法的だ」と述べるにとどまった。このため、今回の演説で欧州をはじめ、米国内外の懸念を払拭(ふっしょく)できるかは疑問だ。
米政府高官によると、CIA秘密施設ではこれまで100人近いテロ容疑者を拘束、尋問してきたが、今回の移管で現時点ではゼロになった。
一方、大統領は、米連邦最高裁が今年6月、グアンタナモ基地の特別軍事法廷を「違法」とする判決を出したことを踏まえ、特別軍事法廷に法的根拠を与える法案を同日、米議会に提出した。
米国防総省も同日、テロ容疑者の扱いに関する米兵士向けのマニュアルの改訂版を発表。テロ容疑者に関してもジュネーブ条約に沿った人道的な待遇が適用されることを初めて明文化した。