フセイン政権とアルカイダの関係を裏付ける証拠はなかった

米上院特別委員会が報告書を公表し、旧フセイン政権とアルカイダの結びつきを裏づける証拠はなかったと指摘。

いまさらという気もしますが、他方で、間違いは間違いできっちと総括しようというのはよいこと。どこかの総理大臣は、「大量破壊兵器をもっている」と断定して、アメリカのイラク攻撃を支持したのに、何の反省もしてませんからねぇ。

「アルカイダと無関係」 米上院報告書 イラク戦根拠否定(東京新聞)

「アルカイダと無関係」 米上院報告書 イラク戦根拠否定
[東京新聞 2006/09/09夕刊]

 【ワシントン=小栗康之】米上院情報特別委員会は8日、イラク攻撃の理由になった、旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダの関係を裏付ける証拠はないとの報告書を公表した。ブッシュ政権は、米中枢同時テロ事件を首謀したとされるアルカイダとイラクとの関係を主張していたが、これをあらためて否定、11月の中間選挙を前にイラク政策の正当性を訴えるブッシュ政権には大打撃となる。
 報告書は、サダム・フセイン元大統領と、アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者との関係について、旧政権の元閣僚の米連邦捜査局(FBI)に対する証言を引用し、「フセイン元大統領はビンラディン容疑者に対し、否定的な思いしか表明していなかった」と指摘。
 フセイン元大統領は、アルカイダを自分の政権にとってむしろ脅威だと感じ、信用していなかったとの見方も示した。
 また、ビンラディン容疑者に忠誠を誓い、「イラク聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者(今年6月死亡)がイラクに潜伏していた2002年当時、旧フセイン政権はとらえようとし、かくまったりなどはしなかったと分析。
 ブッシュ政権はザルカウィ容疑者がイラクにいたことなどを証拠に、旧フセイン政権とアルカイダのつながりを主張していたが、報告書はこれを否定し、「旧フセイン政権とザルカウィ容疑者との関係はない」と結論付けた。
 米中枢同時テロ事件へのイラクの関与についても、「旧フセイン政権が共謀したという信用できる情報はない」とした。
 また、報告書はブッシュ政権がイラク攻撃の別の理由に挙げていた大量破壊兵器の存在についてもあらためて否定した。
 同委員会は〇四年七月の報告書でも関係を否定しており、スノー米大統領報道官はAP通信に対し「新しい事実はない」と述べるにとどめた。

<メモ>フセイン政権とアルカイダ
 ブッシュ米政権は2001年の米中枢同時テロを国際テロ組織アルカイダの犯行と断定。続いてイラクの大量破壊兵器隠ぺいやアルカイダとの「長期にわたる接触」を主張し、03年3月、開戦に踏み切った。
 しかし、イラクのフセイン政権は「(アルカイダと)何の関係もない」と真っ向から否定。米独立調査委員会は04年6月、同時テロにイラクが関与した「信頼できる情報はない」とし、フセイン政権とアルカイダの協力関係にも否定的な見方を示した。(共同)

ちなみに、その某総理大臣は、ご自身のメルマガで、こう述べていました。

 ……このイラクの大量破壊兵器が世界の平和に対する重大な脅威になっているのです。
 この問題は、アメリカ対イラク、あるいはアメリカ対フランスの問題ではありません。「全世界対大量破壊兵器を持っているイラク」の問題であることを忘れてはいけないと思います。(「小泉内閣メールマガジン」第86号 2003/03/13)

もともと、イスラム原理主義のアルカイダと、世俗的権力だったフセイン政権との関係は考えにくいと言われていました。またすでに、2004年6月に、アメリカ国家調査委員会が、アルカイダとフセイン政権とがテロ攻撃で「協力したことを示す証拠は一切ない」との報告書を発表しており、この問題は今回初めて指摘されたものではありません。

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