台風12号の直撃を受けた南鳥島。滑走路や諸施設が砂に埋もれてしまい、避難した職員はいまだに帰島できないそうです。
最高地点で海抜8メールとはいえ、台風12号恐るべし!
台風12号去り 砂置き土産 全職員避難の南鳥島
[東京新聞 2006/09/19]台風13号に先立つ今月初めの猛烈な台風12号の被害を避けるため、日本最東端の南鳥島に勤務していた気象庁・海上自衛隊・海上保安庁の全職員計39人が島外に脱出してからすでに半月以上。台風が去った後、無人の島に残されていたのは、高波が運んできた大量の“サンゴの砂”だった。観測施設が海水や砂をかぶって損壊した恐れがあり、業務再開のめどは全く立っていない。
台風12号は東太平洋で発生したハリケーンが日付変更線を越えたため台風となった。中心気圧920ヘクトパスカル、最大風速55メートルと猛烈な勢力で南鳥島に向かっていた今月1日、暴風や高波・高潮で「職員に危険が及ぶ」(気象庁)ため、全員が自衛隊機で1000キロ以上離れた硫黄島(小笠原諸島)に避難。12号は3日、非常に強い勢力を保ち南鳥島付近を通った。
台風通過後の飛行機や船での現地視察によると、島の東側を中心にサンゴが細かく砕けてできた砂に覆われ、滑走路も砂が積もって使用不能。職員が暮らす2階建ての庁舎は外見上、大きな損壊はないが一部浸水したとみられる。気象観測に使う精密機器などが、海水と砂でどの程度やられたか被害の詳細はまだ分かっていないという。職員たちは硫黄島と本土で待機中。
気象庁は「砂と塩水をかぶった可能性がある機器類は、専門の業者に見てもらわないと、修理可能かどうかも分からない。飛行場が使えるようになれば、業者も送り込める。電源を回復させ、可能なものから順次、なるべく早く復旧させていきたい」としている。◆メモ <南鳥島>
東京から南東に約2000キロ離れた太平洋上の孤島。三角形で周囲約6キロ、面積約1.5平方キロ。海抜は高い所で約8メートル。各種気象データや大気汚染データを収集する気象庁の観測所と、船舶向け信号を出す海上保安庁の「南鳥島ロラン局」があり、海上自衛隊の航空派遣隊も常駐する。一般住民はいない。