安倍政権発足で世論調査、靖国参拝反対がやはり多数

安倍内閣発足をうけて、各新聞社が世論調査を実施。内閣支持率が高いのは、まあご祝儀相場。しかし、内閣支持率が高い割に、靖国参拝については参拝すべきでないという意見の方が多数を占めているのが特徴。

毎日新聞の世論調査では、在任中の靖国参拝について、「賛成」39%に対し「反対」は48%。共同通信の調査では、参拝「すべき」33%に対し「すべきではない」が51.3%と過半数を上回った。日経新聞の調査でも、賛成40%に対し反対は41%になっている。

毎日世論調査:無党派の四分の一自民へ 「安倍効果」出る(毎日新聞)
安倍内閣、支持65% 51%が「参拝自粛を」(東京新聞)

毎日世論調査:無党派の四分の一自民へ 「安倍効果」出る
[毎日新聞 2006年9月28日 3時00分]

 (前略)

■在任中の靖国参拝 反対48%、賛成39%

 毎日新聞の世論調査は安倍首相の靖国神社参拝問題への対応についても聞いた。首相在任中に参拝すべきかどうかの質問に対する回答は、「すべきではない」が48%に上り、「すべきだ」の39%を上回った。首相の参拝に厳しい世論が浮かび上がった。
 安倍内閣の支持層は「すべきだ」が48%で、「すべきではない」の40%より多かった。不支持層は「すべきではない」が81%で、「すべきだ」の11%を圧倒。靖国問題が内閣支持の判断材料になることがうかがえた。
 支持政党別では、自民支持層のみが「すべきだ」(55%)が「すべきではない」(34%)より多かった。他党支持層で「すべきだ」と答えたのは、公明、民主、共産、社民でそれぞれ36%、26%、19%、26%にとどまった。男女別では、女性は「すべきだ」が35%、「すべきではない」が50%だった一方、男性はともに44%という結果となり、男女差が浮かんだ。安倍内閣に期待する政策に「アジア外交の立て直し」を挙げた人の中では、「すべきではない」が67%で、「すべきだ」の28%を大きく上回った。
 一方、安倍首相が官房長官だった今年4月に靖国神社を参拝し、その事実を公表していないことへの評価を尋ねたところ、「支持する」と「支持しない」はともに46%。安倍内閣支持層では、57%が「支持する」と回答し、自民、公明支持層でもそれぞれ62%、49%が支持した。【古本陽荘】

安倍内閣、支持65% 51%が「参拝自粛を」
[東京新聞 2006年09月27日 16時51分]

 共同通信社が26日夜から27日にかけて実施した全国緊急電話世論調査で、安倍内閣の支持率は65.0%となり、発足直後としては宮沢内閣以降で小泉内閣、細川内閣に次ぐ3番目の高さとなった。支持理由は「ほかに適当な人がいない」が22.6%で最も多く、次いで「首相を信頼する」が21.9%だった。不支持率は16.2%。
 安倍晋三首相が靖国神社を参拝すべきかどうかについては「すべきではない」が51.3%と半数を超え「すべきだ」の33.0%を上回った。
 安倍内閣が取り組むべき最優先課題では(1)年金などの社会保障37.9%(2)景気対策17.5%(3)財政再建11.6%?の順となった。
 26日に発足した安倍内閣の顔触れの印象は「代わり映えしない」が23.3%で最も多く、次いで「派閥順送りで改革のイメージがない」が16.6%。肯定的な評価では「改革にむけた意気込みを感じる」が15.5%、「重厚で安定感がある」が11.0%となった。
 政党支持率は自民党49.2%、民主党16.1%、公明党4.5%、共産党2.7%、社民党2.1%、国民新党0.3%、新党日本0.1%、支持政党なし23.2%、分からない・無回答1.8%だった。(共同)

日経新聞の世論調査はネットには出てないようです。これをみると、30歳代と40歳代で賛成が多く、60歳代と70歳代以上で少ないという興味深い結果も出ています。

首相の靖国参拝 「賛成」40% 「反対」41%
[日経新聞 2006/09/28朝刊]

 世論調査で安倍晋三首相の靖国参拝への賛否を尋ねたところ、「反対」が41%と、「賛成」の40%をわずかに1ポイント上回った。前回の8月調査では次期首相の靖国参拝について賛成43%、反対39%だった。賛成は30歳代と40歳代でともに48%と高く、逆に60歳代は37%、70歳代以上は32%にとどまっている。

どの世論調査をみても、安倍内閣の優先課題としては、社会保障がトップで第2位が景気対策。それにたいして、憲法改正は最下位かその1つ上程度。ここでも、安倍政権に対する国民の期待と、彼らがやろうとしていることとのズレが明らかになっている。

たとえば、「朝日新聞」の調査は6項目の択一で、第1位年金・福祉改革43%、第2位景気・雇用対策17%、以下、財政再建15%、教育改革11%、アジア外交8%、憲法改正はわずか2%しかない(最下位)。毎日新聞は7項目から1つの回答で、社会保障制度改革27%、教育改革15%、財政再建15%、景気対策13%に対し憲法改正は5%(最下位)。読売新聞は、9項目から「いくつでも」選んでよいという調査で、年金・医療など社会保障制度改革88.8%、景気・雇用対策83.8%、アジア外交72.8%、財政の健全化72.0%、教育改革65%などに対し、憲法改正問題は40.7%で下から2番目(最下位は靖国神社問題32.0%)。日経新聞も、14項目からの複数回答で、1位が社会保障58%、2位教育改革29%、3位景気対策26%、4位財政再建、雇用対策、治安・犯罪対策が各21%、これに対し憲法問題は8%(13位)。

内閣支持率の高さをみても、「支持する」理由は、「若くて清新なイメージ」54%に対し、「指導力に期待できる」17%、「政策が期待できる」15%と、実態はイメージ先行(以上、毎日)。共同の調査では、「支持する」理由のトップは、「ほかに適当な人がいない」22.6%。読売の調査でも、「期待する」理由のトップは「清新なイメージ」34.0%。それにたいして、「指導力がある」は7.7%、「政治理念や政策が支持できる」8.7%にとどまっている。「格差問題は解決できるか」には、「解決できる」20.2%に対して「そうは思わない」63.3%。いずれも、政策や理念への支持というより、イメージ先行であることを示している。

また、教育基本法改正について、朝日の調査では、「今国会で成立をめざすべき」21%に対し、「今国会にこだわらず、議論を続けるべき」が66%にのぼっていることも注目できる。

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