8月の完全失業率は前月と同じ4.1%(季節調整値)。しかし、若者(15?24歳)は前年同月比で0.6ポイント改善したとはいえ依然として7.9%(実数)で、45?54歳層の2.5倍以上。
若年層なお高水準…8月の完全失業率
[2006年9月29日 読売新聞]総務省が29日に発表した労働力調査結果(速報)によると、8月の完全失業率(季節調整値)は4.1%で、前月と同率だった。年齢別でみると、15?24歳は前年同月比で0.6ポイント改善したものの7.9%。45?54歳は3.0%、65歳以上は2.2%などで、依然として若年層の失業率は高い水準にある。
就業者数は6427万人。前年同月比22万人増となり、16か月連続のプラス。完全失業者数は272万人と同比12万人減で、9か月連続の減少だった。
同省は「若年層に厳しさが残るが、全体の雇用情勢は改善傾向が続いている」と分析している。
一方、厚生労働省が同日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で前月を0.01ポイント下回った。
総務省統計局の速報はこちら。↓
労働力調査(速報)2006年8月分結果の概要(総務省統計局)
年齢別の失業率は同上ページの第17表を参照のこと。
青年の雇用対策については、『週刊ダイヤモンド』9/2号が特集記事のなかで、「欧米と比べてあまりにお粗末な若年雇用対策」と題して、こんなふうに書いています。
若年層の失業対策として、1つは「非正規雇用者の労働条件の改善」を提起。
パートタイマーの賃金は正社員と比べて低く、とりわけ日本は正社員のほぼ半分と、国際的にみても格段の低さである。……
非正規雇用者の増加はOECD加盟国共通の現象だが、ヨーロッパの国と比べ日本の非正規雇用者は劣悪な雇用環境に置かれているといっていいだろう。
非正規雇用者はいまや日本の雇用者の3割を占めており、欧州各国で導入されている「均等条件の確保」が焦眉の政策課題である。(同号、52ページ)
それに続けて、もう1つ取り上げているのは「若年層に対する職業教育・訓練の充実」。若者の雇用対策費は、日本の場合、GDPのわずか0.01%しかない。
若年失業対策でとるべきもう1つの対応策は若年層に対する職業教育・訓練の充実である。
過去、日本においては若年層に対する雇用政策が採られたことはなかった。なにより、若年層に限らず、雇用政策そのものがなかったあったのは、公共投資による総需要拡大という雇用対策だけである。
OECDの調査でも、日本の若者雇用対策費は01年までゼロで、02年に初めて対GDP比で0.01%が計上された。同年のフランスは0.40%、カナダは0.39%と、その差は歴然である。
欧米の若年層に対する職業教育・訓練では、英国の「ニューディール政策」、米国の「ジョブ・コア」、ドイツの「デュアルシステム」など、行政による積極的雇用政策が採られており、成功を収めている。システムの説明は省くが、いずれの国も、若者を将来の生産活動の担い手となる希少な資源として認識し、彼らに適切な職業教育・訓練を施し、雇用市場に参加させるのが政府の責務という基本哲学が確立されている。
かたや日本では、ニートに代表される若年不利益層の把握すら困難な状況にある。英国をはじめとする欧州では、失業保険や雇用保険の対象者から調査可能だが、日本では働いたことがない若者への雇用保険、所得の低い若者に対する生活保護制度といった若年不利益層に対するセーフティネットすらないのが実情である。(同前)