前に朝日新聞の記事を紹介しましたが、今日、人材派遣会社コラボレートが、労働者派遣法違反の「偽装請負」をおこなったとして、大阪労働局から業務停止命令を受けました。
コラボレートは「しんしに受け止める」とか「誠心誠意取り組んでいく」などと、それらしいコメントを出してますが、この会社が労基署から行政指導や処分を受けたのは今回が初めてではありません。こういうのを、日本では、「盗っ人猛々しい」というのです。
偽装請負で初の事業停止命令(NHKニュース)
偽装請負、コラボ社に事業停止命令…大阪労働局(読売新聞)
コラボレートに事業停止命令 「偽装請負」で初(朝日新聞)
偽装請負で初の事業停止命令
[NHKニュース 10月3日 19時1分]大阪の人材派遣会社が、実態は労働者派遣なのに受け入れ先が安全管理などに責任を負わなくて済む請負契約を結んでいたのは、労働者派遣法に違反する「偽装請負」だとして、全国で初めて労働局から事業停止命令を受けました。
事業停止命令を受けたのは、大阪・北区に本社のある人材派遣会社「コラボレート」です。大阪労働局によりますと、コラボレートの兵庫県にある姫路営業所は、ことし8月、請負契約に基づいて兵庫県加古川市の工場で作業を請け負っていました。しかし、実態は労働者が受け入れ先の社員から直接指示を受けるなど労働者派遣にあたり、労働者派遣法に違反する「偽装請負」だったということです。「偽装請負」は数年間にわたって行われていたとみられ、コラボレートは労働局に虚偽の報告も行っていました。このため、労働局は、悪質性が強いとして、コラボレートの姫路営業所に1か月間の、また、ほかのすべての事業所に2週間の事業停止命令を出しました。「偽装請負」を理由に事業停止命令が出されたのは全国で初めてです。
請負契約は、労働者派遣と違って、受け入れ先が労働者の安全管理などに責任を負わずに済むため、受け入れ側の思惑もあって広がっているとみられ、労働局は受け入れ先の企業にも是正を指導しました。処分について、コラボレートは「取引先や従業員にご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。命令をしんしに受け止め、今後再びこのような事態が発生しないよう、誠心誠意取り組んでまいります」というコメントを出しました。今後は、製造請負業務から撤退し、自社の工場での生産受託に転換するとしています。
偽装請負、コラボ社に事業停止命令…大阪労働局
[2006年10月03日 読売新聞]労働者派遣・業務請負大手「コラボレート」(本社・大阪市北区)の偽装請負問題で、大阪労働局は3日午後、同社に対し労働者派遣法に基づき事業停止命令を出す。同社の関係者を局に呼び、命令書を手渡す。全国の全84事業所が対象で、停止期間は数週間程度になる見通し。偽装請負での事業停止命令は全国初となる。
同労働局は、命令に合わせ、全事業所での自主点検と改善計画の提出も求める方針。
関係者によると、コラボ社は昨年7月、親会社「クリスタル」(同・京都市)のグループ5社を吸収合併。前身の5社を含めて同6月以降、業務請負を偽装して事実上、請負先の大手メーカーに労働者を派遣していたなどとして、各地の労働局から計3回、行政指導・処分を受けた。
その後、コラボ社は全事業所の請負契約について自主点検し、今年4月、大阪労働局に対して「問題なし」と報告。しかし、同7月、兵庫労働局の調査で兵庫県加古川市のメーカー工場との偽装請負が新たに発覚、業務改善命令を受けたことなどから、事業停止命令に踏み切ることにした。
厚生労働省によると、同法に基づく事業停止命令は、停止期間中、メーカーなどに新規の労働者派遣はできなくなるが、すでに派遣されている労働者は引き続き就労できる。
コラボレートに事業停止命令 「偽装請負」で初
[asahi.com 2006年10月03日21時19分]厚生労働省大阪労働局は3日、製造請負大手の「コラボレート」(大阪市北区)に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令と事業改善命令を出した。大手メーカーなどとの請負契約を装って労働者を都合よく働かせる「偽装請負」に絡んだ事業停止命令は初めて。
停止期間は偽装請負が新たに発覚した同社の姫路営業所が4日から1カ月、ほかの83事業所が2週間。停止期間中は、新たな労働者の派遣ができなくなる。ただ、すでに派遣されている労働者は引き続き働くことができる。
改善命令では、すべての請負事業について総点検するとともに不適切な請負を是正して、1カ月以内に報告するよう求めた。コラボレートは「今回の命令を真摯(しんし)に受け止め、業務改善に取り組む」としている。
大阪労働局によると、コラボレートの姫路営業所は兵庫県加古川市の工場で、実態は労働者派遣なのに請負契約を装って、約50人の労働者を送り込む偽装請負を8月時点で行っていた。にもかかわらず同社は、5月22日、「適正な請負に改善された」と事実と異なる報告をしていた。
請負労働者を受け入れていたのは、住友ゴム工業の子会社「SRIハイブリッド」の工場。朝日新聞の取材に対し、労働局から9月に是正指導を受けたことを認めた。同社はコラボレートの従業員約50人を、11月から自社の契約社員にして、偽装請負を解消する方針。
またコラボレートの前身の一つである「タイアップ」が昨年6月、東京労働局から法令順守体制を整備するよう事業改善命令を出されたのに、実効ある体制が確立されなかったことも処分理由となった。
コラボレートは、国内最大級の人材会社「クリスタル」(京都市下京区)グループの中核会社で、多数のメーカーと取引がある。従業員は今年8月現在で3万4290人。