日本経団連などが要求している「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度を実現するために、厚生労働省が来年の通常国会に法案を提出する方向で労働政策審議会に具体案を提示するもよう。
「自律的労働時間制度」とか「多様な働き方を可能にする」というと、なんだか素晴らしいもののように思えてきますが、つまるところ、賃金を労働時間の長さに比例させるという大原則を取っ払ってしまい、いくら長時間働いても残業代は一円も出ないようにしてしまおうというもの。現在の「成果主義賃金」や「年棒制」は、個々の労働者の同意がなければ実施できないが、「自律的労働時間制度」が実現したら、個々の同意がなくても、「残業代なし」の新制度が導入できるようになります。だいたい今の日本の職場で、労働者が自由に労働時間を決められる職場があるでしょうか? いまでも30代男性の3分の1は週60時間も働かされ、サービス残業はなくなりません。そんな状況で、「自律的労働時間制度」によって、企業側に労働時間管理の義務がなくなり、残業代不要になったら、いったいどうなるか。簡単に想像がつくはずです。
自由度高い労働時間制、健康管理強化など条件 厚労省が導入案 労政審に提示へ(日経新聞)
残業代11.6兆円失う(神戸新聞)
労働時間規制の緩和、「導入しないで」 過労死遺族ら(朝日新聞)