これも「成果主義」の成果?

インテリジェンスという転職支援サービス会社のホームページに掲載されていた話なのですが、アメリカのコンサルティング会社の世界16カ国の調査で、日本は、「仕事に対する態度」の調査で「非常に意欲的」が2%で最低。逆に「意欲的でない」は、インドに次ぐ2番目だったそうです。

この調査をした会社の分析によると、日本のワーカーの意欲が低いのは、「長らく続いた不況による人員削減や組織改革で、会社への忠誠を裏切られたと感じているため」だそうです。これこそ、「成果主義」の成果ではないでしょうか。

やる気の起きない日本人 ワーカーの世界意識調査 (インテリジェンスの転職支援)

やる気の起きない日本人 ワーカーの世界意識調査

日本人は、世界でも自他共に認める“勤勉で優秀”な国民――と思っていたら、「仕事への意欲が世界最低」との評価を与えられてしまった。「非常に意欲的」なワーカーの割合は世界16カ国で最低、「意欲的でない」者の割合が下から2番目なのだという。

■「非常に意欲的」なワーカーの比率“世界最低”

コンサルティング会社の米タワーズペリンがまとめた世界のワーカーの意識調査報告書「Winning Strategies for a Global Workforce」では、各国での仕事に対する態度を「意欲的」という指標で調査した。それぞれ、「非常に意欲的」「意欲的」「意欲的でない」の3段階に分けたものだ。

それによると、日本は、2%、57%、41%という比率で、「非常に意欲的」はインドとイタリア(各7%)を下回って世界最低。「意欲的でない」がインド(56%)に次いで2番目に多いという結果となった。

ちなみに「非常に意欲的」の割合が多かったのはメキシコ(14%)、ブラジル(31%)、米国(21%)などで、全16カ国の平均は14%だった。アンケートの対象者数は計8万6,000人で、ウェブからの回答を集計している。

同社の説明では、この「意欲的」(engaged)は、「組織の一員であり、そこで働くことから得られる個人的満足、感化などにかかわる5つの感情」から割り出したものだという。「会社の将来を真に気にかけている」「自分の会社を誇りをもって名乗れる」「仕事が自分に個人的な達成感を与えてくれる」「自分の会社が、よい職場だと友人に勧めることができる」「最高の仕事をするよう会社が刺激してくれる」の5つである。

■集団・家族主義の崩壊?

これだけでは、日本人は世界でもやる気のない国民ということになってしまうが、「それがなぜか」という答えを探るカギも報告書のなかにある。

報告書では、ワーカーが考える会社の「会社の魅力のもと」「この会社で働き続けようという原動力」「仕事への意欲のもと」の3項目について各国別のベスト10をまとめている。日本の場合、それぞれのトップは「チャレンジ的な仕事」「明快な利益情報開示」「部署内での意思決定への参加」だった。

これに対し、米国や英国では「基本報酬」「会社が必要なスキルを伸ばしてくれる」「上級管理職への道」というパターンとなっており、よく言われる、欧米のワーカーの個人主義・実力主義指向が表れている。

こうしたころから日本のワーカーの答えを他国のそれと比べてみると、「仕事の基盤が安心・安定していて、その集団の一員としてかかわりながら、新しいことを成し遂げたい」というイメージが浮かび上がってくる。

また、日本では「この会社で働き続けようという原動力」の2番目が「ストレスの低い環境」で、他の国に比べて高位置にある。日本のワーカーの多くが、会社に“家族的な雰囲気”を求めていることがうかがわれる。

タワーズペリンの分析によると、日本のワーカーの意欲が低いのは、長らく続いた不況による人員削減や組織改革で、会社への忠誠を裏切られたと感じているためだという。

今、ともかく、景気については好転した。だが、日本の企業文化は、もはや後戻りできず、以前とは違ったものになってきている。日本のワーカーの意欲が再び燃え上がるのか、それともこのまま沈滞していくのか……。個々のワーカーが、いかに新しい価値観をつくっていくかが問われることになるだろう。

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