教育委員会設置義務の撤廃が大きく取り上げられていますが、労働・雇用分野で「団体交渉権を一定割合以上の組合員がいる労組に限定すること」があげられていることに注意する必要があります。
いまでも、日本は労働組合の組織率が低いのに、こんな「規制緩和」が実現したら、たいていの企業では、労働組合との交渉は必要なくなってしまうでしょう。企業にしてみれば、こんな天国みたいな話はありませんが、いまフリーター、アルバイトたちの間で活躍している「青年ユニオン」のような個人加盟の労働組合も、まったく閉め出されてしまいます。
憲法28条は、勤労者の団結権や団体交渉権を、一切の条件なしに保障しています。それを空文化させる大改悪は絶対に許されません。
教委設置義務の撤廃見送り、規制改革会議が最終答申案(読売新聞)
教委設置義務の撤廃見送り、規制改革会議が最終答申案
[2006年12月7日3時31分 読売新聞]政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が今月下旬にまとめる最終答申案の全文が6日、明らかになった。
焦点となっていた地方自治体への教育委員会の設置義務を撤廃するかどうかに関しては「教育委員会制度の抜本的な改革を行うべきだ」との指摘にとどめ、撤廃と明記することを見送った。事実上、来年度以降の検討課題に持ち越した。
地方自治法に定められた教育委員会の設置義務について、同会議は7月の中間答申で「教育委員会制度が十分機能していない」などとして、設置を自治体の判断に委ねる選択制を導入する方向で検討すべきだとした。だが、「いじめ問題」の深刻化で教育委員会の機能強化を求める世論を背景に、佐田規制改革相が撤廃は答申になじまないと主張したこともあり、同会議側が配慮した。
同会議は、安倍内閣が教育再生を重点政策としていることを踏まえ、教育分野で、〈1〉生徒や保護者による教員評価や学校評価を法令で義務化する〈2〉中央教育審議会が提言した教員免許更新制度を、不適格教員の排除を可能な制度とする――ことなど、中間答申より踏み込んだ内容も最終答申案に盛り込んだ。
雇用・労働分野では、新たに、派遣労働者の雇用に関する企業側の義務の見直しや、団体交渉権を一定割合以上の組合員がいる労組に限定することを検討事項とした。
中間答申の柱だった、〈1〉認可保育所への入所を保護者の選択制とし、国の補助金を保護者に直接支給する方式の導入〈2〉介護福祉士資格を持つ外国人の国内就労の受け入れ検討――などは最終答申案にそのまま盛り込まれた。
ただ、中間答申はNHK改革について、衛星放送のうち2チャンネルを2011年度までに民間に開放するとしていたが、最終答申案は「衛星放送の3チャンネルを再編成する」と後退した。
↓これが日本国憲法第28条。日本国憲法は、一切の条件なしに団体交渉権を保障しており、企業側には団体交渉を拒否する権利はありません。
第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
↓こっちが、内閣府の規制改革・民間開放推進会議のホームページ。最終答申案は、まだ公表されていません。
内閣府 規制改革・民間開放推進会議