いよいよ12月、ということで、池袋の東京芸術劇場でベートーヴェンの「第九」を聴いてきました。今日の演奏会は、「東京フロイデ合唱団」の主催です。
プログラムは、
- ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第1番
- ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ニ短調 作品125
「東京フロイデ合唱団」は、「東京高齢協合唱団」として、1998年から活動してきたアマチュア合唱団ですが、「20歳代、30歳代の方も活躍している“世代を超えた合唱団”」(プログラム)であることを分かりやすくするため、今年から「東京フロイデ合唱団」という愛称をつけたそうです。
とはいっても、ひな壇に登場したみなさんは、圧倒的に人生の大年輩の方々。私も、職場の元先輩T岡さんに、「こんど第九やるんだけど、聴きに来てくれる?」とやさしく(?)勧められ、チケットを買わせていただいたクチですが、よくみると、東京大学名誉教授で教育学界の大御所H尾輝久先生や、哲学のY科三郎先生もいらっしゃるではありませんか。(そして、客席には、そのY科先生からチケットを買わされたというイギリス経済史のH林正夫先生もいらっしゃってました)
管弦楽の演奏は日フィル。指揮は外山雄三さん。外山さんの指揮は、いつもほんとに几帳面ですが、今日は、第4楽章に入って合唱が始まると、合唱団にむかって「もっと、もっと」という気持ちがあふれ出ていました。合唱の出来は、アマチュア合唱団ですから、プロ、セミプロ級の公演と比べて、ああだこうだと言ってみても仕方ありません。しかし、予想以上(?)の出来で、あらためて、「第九」の力強さとか、“生きることの喜び”のようなものが伝わってきました。プログラムには、団員のみなさんの一言も紹介されていますが、歌う楽しみや喜びとともに、多くの方が「平和」への思いを書かれていたのが印象的でした。
ソリストもよかったですが、とくにテノールの小林一男さんとメゾ・ソプラノの竹田弥加さんが優れていたと思いました。ソプラノの西澤ちづるさんは、ちょっとビブラートが効き過ぎで、「第九」には不向きだったかも知れません。
お客さんも圧倒的に合唱団の関係者だったのでしょう。だから、その分、クラシックのコンサートは初めてというお客さんも多かったのだろうと思います。1曲目の「レオノーレ序曲第1番」が始まっても、がさがさごそごそ……。ちょっと演奏者のみなさんにはかわいそうでした。「第九」が始まっても、合唱が始まるまで45分もあって、正直言って退屈している人もいました。でも、最後は拍手大喝采。演奏会が終わっても、お客さんが手を振ったり、団員のみなさんも、ひな壇から降りながら客席に手を振り返したりで、「やった〜!!」という雰囲気が一杯でした。(^_^;)
【演奏会情報】東京フロイデ合唱団第9回演奏会
指揮:外山雄三/ソプラノ:西澤ちづる/メゾソプラノ:竹田弥加/テノール:小林一男/バリトン:パク・ウン・ウー/管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団/ゲスト・コンサートマスター:深山尚久/合唱:東京フロイデ合唱団/合唱指揮:富澤裕/会場:東京芸術劇場/開演:2006年12月10日 午後2時半