内閣支持率、12月も連続下落

日経新聞の世論調査で、内閣支持率が51%に低下。11月の調査からさらに8ポイントの低下。その他、各種世論調査でも連続的に支持率は下がっている。

安倍内閣、支持率51%に低下(NIKKEI NET)
安倍内閣支持率5割切る 下落止まらず(日テレNEWS24)
内閣支持率が急落、59%に ?JNN調査(TBS News-i)

安倍内閣、支持率51%に低下
[NIKKEI NET 2006/12/25 22:02]

 安倍内閣の支持率が51%に低下した。日本経済新聞社が22―24日に実施した世論調査で11月末の前回調査から8ポイント低下し、不支持は11ポイント上昇の40%。政権発足後3カ月の仕事ぶりは「評価しない」が57%にのぼり、「評価する」の29%を引き離した。郵政民営化「造反組」の復党や政府税制調査会の本間正明会長の辞任なども影響したとみられる。
 調査は2007年度予算案が固まったのを受けて実施。内閣支持率は9月末の発足直後の71%から低下の一途をたどり、小泉内閣の最後の8月調査の水準(支持50%、不支持40%)にほぼ並んだ。自民支持層の内閣支持率は79%と前回比6ポイントの低下。民主支持層は20%で10ポイント低下、無党派層も26%と10ポイント下がった。

安倍内閣支持率5割切る 下落止まらず
[日テレニュース 12/18 1:46]

 教育基本法の改正や防衛庁の省昇格など重要法案を成立させた安倍政権だが、日本テレビが行った世論調査によると、内閣支持率は5割を切った。
 調査によると、安倍内閣を支持すると答えた人は48.5%と、前月の調査に比べ約11ポイント下落、政権発足後、最低となった。支持しない理由としては、「政策に期待が持てない(40.0%)」、「リーダーシップがない(21.2%)」などの順となっている。
 支持率低下の要因の一つは一連のタウンミーティング問題とみられるが、「税金の無駄遣い(36.3%)」や「世論の誘導(22.5%)」を問題視する人が多い結果となっている。
 さらに、給与3か月分を返納した安倍首相の“けじめ”については、66.6%の人が「けじめはついてない」と答えた。また、郵政造反議員の復党も59.9%が「支持しない」と答えており、依然、世論の反発が根強いことを表している。
 一方で、教育問題について、政府の教育再生会議では「いじめた児童・生徒の出席停止措置」が検討されているが、賛成が45.3%と、反対の36.3%を上回った。さらに、教育再生会議が発表した緊急提言のうち「教師の処分の強化」や「いじめた児童・生徒に社会奉仕を行わせる」ことなどは、いずれも半数以上が賛成と答え、厳しい措置を求める声が多い結果となっている。

日本テレビ電話世論調査
  【調査日】12月15日?17日
  【対象者】全国1000人
  【回答率】54.8%
http://www.ntv.co.jp/yoron/

内閣支持率が急落、59%に ?JNN調査
[TBSニュースi 2006/12/11 17:56]

 安倍内閣の支持率が、郵政造反組の復党問題などを理由に、先月から9ポイント以上下がって59%となったことが、JNNの世論調査で明らかになりました。
 調査は、この週末に行いました。それによりますと、安倍内閣の支持率は59%で、先月より9ポイント下がったのに対し、支持できないという人は10ポイント増えて40%となりました。
 支持できない理由としては、安倍総理個人の能力や行政改革への取り組みを挙げる人が上位を占めています。
 一方、いわゆる郵政造反組11人の復党について尋ねたところ、復党に賛成は先月より3ポイント減って28%だったのに対し、反対は8ポイント増えて63%となり、 改めて厳しい見方が強まっています。
 復党反対の理由としては、「自民党が参議院選挙目当てで筋を曲げた」や「造反組が信用できない」を挙げた人が多くなっています。
 また、復党問題を理由に安倍内閣を支持できなくなったと答えた人は20%に上り、内閣支持率低下にも影響を与えていることが浮き彫りとなりました。
 一方、先週決着した道路特定財源の見直し案については、評価する人が41%に対し、評価しないが44%と、評価が分かれました。
 また、安倍政権が今の国会で成立を目指す教育基本法改正案や、防衛庁の省昇格法案について尋ねたところ、「今の国会で改正すべき」と答えた人は、いずれも半数に届かず、急ぐべき課題ではないという見方が大勢となっています。

TBSの世論調査は、こちらを参照。

ちなみに、中国新聞にはこんな分析が載っている。

支持構造が「旧自民」に回帰 安倍政権3カ月世論分析(中国新聞)

支持構造が「旧自民」に回帰 安倍政権3カ月世論分析
[中国新聞 2006/12/24]

 内閣支持率が急落を続ける安倍政権。九月下旬の発足直後から三カ月間の計四回の共同通信電話世論調査結果を前田幸男・東大助教授(計量政治分析)が分析した結果、政権の支持構造が高齢者や男性に頼る「古い自民党」型に回帰していることが浮かび上がった。(調査は(1)九月二十六、二十七日(2)十月十、十一日(3)十一月二十五、二十六日(4)十二月五、六日の四回。データは小数点以下を四捨五入)

 ▽無党派が離反

 【データ1】内閣支持率は九月調査65%↓十月63%↓十一月57%↓十二月49%。うち女性の支持は九月70%↓十二月47%。無党派層の支持は九月49%↓十二月19%。

 「政権発足直後の支持率は歴代内閣でも高く、特に女性の高支持率に特徴があった。小泉内閣以前の自民党政権では、男性の支持率が女性を上回り、小泉内閣は男女で支持率が拮抗(きっこう)していた。安倍内閣の九、十月調査の支持率は、女性が男性よりも10ポイント前後高い。女性の『スマートで若い宰相』への期待がかいま見える」
 「だが、十一月下旬に郵政造反組の自民党復党を容認した影響で、十二月の内閣支持率は九月から16ポイント急降下。内訳をみると無党派層の離反が30ポイント減と顕著で、さらに女性が23ポイント下落した。逆に、不支持率は二十代で19ポイント、三十代で31ポイント上昇した。男性と高齢者で支持率を維持する典型的な自民党政権のパターンへと急速に回帰しつつあるのは、安倍晋三首相の言葉とは裏腹に、有権者が『古い自民党の内閣』と厳しく判断したからではないか」

 ▽指導力が鍵

 【データ2】内閣を支持しない理由で「首相に指導力がない」は九月5%↓十月9%↓十一月12%↓十二月16%。

 「復党問題への対応は、有権者が安倍内閣に対して抱いた強いリーダーシップの期待を一挙にしぼませた。十二月調査では68%の人が復党に批判的で、その74%が首相の指導力に失望している。指導力への期待は内閣の支持・不支持と強く連動している」

 ▽もろ刃の剣

 【データ3】内閣を支持する理由で、「外交に期待ができる」は九月15%↓十月22%↓十一月15%↓十二月13%。「行政改革に期待ができる」は九月5%↓十月3%↓十一月5%↓十二月4%。

 「今後の内閣支持率の推移を占う上で重要なのは外交だ。小泉純一郎前首相と異なり、安倍首相に対しては行政改革、政治改革への期待は低く、逆に外交、特に中韓外交に対する期待が高い。しかし、外交は政治的にかじ取りが難しい。有権者内の意見の相違を際立たせ、容易に敵味方の対立をつくり出す可能性が高いためだ。外交を支持率浮揚のカードとして切るのは、もろ刃の剣になるだろう」

 ▽ホームランはない

 【データ4】政権発足時の支持率は小泉内閣86%、森内閣43%、小渕内閣32%、橋本内閣63%、村山内閣33%、羽田内閣52%、細川内閣76%、宮沢内閣55%。

 「下がったとはいえ、十二月の支持率(49%)は低い数字ではない。民主党支持率が自民党の半分程度と低迷していることや、男女や年齢別の支持パターンの変化を考慮に入れると、大きな失策がない限り、内閣支持率は今後急には変化しないはずだ」
 「ただ、本間正明前政府税制調査会長の辞任といったつまずきが、さらなる支持率低下につながる可能性は高い。固い支持層の高齢男性がどう反応するかが焦点だ。古い自民党を『抵抗勢力』と攻撃して支持率を高値維持した小泉前首相と違い、与党への配慮が目立つ安倍首相には、内政問題を契機に支持率を一気に高める”ホームラン”はなさそうだ」

  ×     ×  

 まえだ・ゆきお 東大法学部卒。米ミシガン大大学院修了。専門は政治学、計量政治分析。首都大学東京准教授を経て現職。世論、投票行動分析が研究テーマ。37歳。

西日本新聞は、こんな社説を掲げた。

暮らしの視点が足りない 内閣支持率急落(西日本新聞)

暮らしの視点が足りない 内閣支持率急落
[2006/12/17付 西日本新聞朝刊]

 安倍晋三内閣の支持率が下がり続けている。各メディアが12月上旬に行った世論調査では、内閣発足直後の調査時より15ポイントから20ポイントも支持率が下落した。
 本紙が加盟する共同通信社の調査でも支持率48%。内閣発足直後の65%から2カ月余りで17ポイントの急落である。
 郵政民営化反対議員の復党問題や、道路特定財源の一般財源化問題への首相のあいまいな対応が、理由に挙げられている。が、それだけではあるまい。
 医療や年金、雇用、税金など私たちの暮らしはこの先どうなるのか。格差社会はさらに拡大していくのか。国民が求めるこうした切実な声や不安に応えていないことも、急落の要因だろう。
 税制や社会保障、雇用政策など国民の暮らしに直結する問題で、首相がどこまで「生活者の視点」に立った姿勢を打ち出せるかが、今後の安倍内閣の浮沈を占うカギになりそうだ。
 安倍政権の誕生にあたって、国民が期待したことは3つあったと思う。
 1つは行財政改革や経済・社会の構造改革の継承と推進、もう1つは近隣外交の立て直し。3つ目は格差社会や改革に伴う痛みや不安の緩和である。
 このうち外交については、自らの歴史認識を軌道修正し、就任直後に中国、韓国を歴訪して関係を修復した。その点は評価したい。世論調査でも支持理由に「外交への期待」を挙げた人が目立つ。
 しかし、行財政などの改革への対応や政策面では「期待外れ」と言わざるを得ない。指導力不足、つまり決断の場面で首相の顔が見えないのである。
 世論調査の不支持理由で「経済政策、税制改革に期待が持てない」「指導力がない」を挙げた人が多かったことが、それを裏づけている。
 税制では、来年は定率減税が全廃され個人の所得税、住民税が事実上増えるのに、好決算が相次ぐ企業の税金は減らす方針だという。看板政策の再チャレンジ支援もまだ具体策は出ていない。
 暮らしに直結する政策がこれでは国民に不満が広がるのも当然だろう。
 直近の復党問題や道路財源問題では、首相の指示があったのかどうかもあいまいで、結果的に「古い自民党」の抵抗に屈した印象を与えてしまった。
 国民が倦(う)んでいた「古い自民党」と闘う姿勢を巧みにアピールし続けた小泉純一郎前首相との政権運営の差も「期待外れ」感を助長しているのかもしれない。
 とはいえ、支持率はなお40%台。歴代内閣では高い方だ。国民は安倍政権の今後に期待しているとみていい。
 その期待に応えるためにも、安倍首相は「暮らしに確かな展望が開ける改革」を求める世論調査の傾向を来年度予算に反映すべきだ。
 それができなければ、いくら志が高くても政権の支持率は下がり続けよう。外交や安全保障だけが政治ではない。

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