11月の完全失業率(季節調整値)が、3.99%と8年8カ月ぶりに4%を下回ったというニュース。「景気回復」で失業者が減っているのは事実ですが、それで良かったと手放しで喜ぶわけにはいきません。
8年前の1998年には、正規の従業員は3,794万人に対し、非正規従業員は1,173万人。非正規の比率は23.6%でした(総務省統計局「労働力調査特別調査 2月調査」による)。ところが、今年の7?9月期には、正規従業員は3,408万人に減る一方で、非正規従業員1,707万人と、534万人も増えています。伸び率でいえば1.45倍。非正規従業員の比率は33.4%、約10ポイントも高くなっています。
この8年8カ月の間に、どれほど雇用の破壊、労働者への痛みの押しつけがすすんだか、それを見逃すことはできません。
失業率が改善、4%を切る 8年8カ月ぶり
[中日新聞 2006/12/26]総務省が26日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1ポイント改善の4.0%だった。小数点以下第2位までみると3.99%で、1998年3月以来、8年8カ月ぶりに4%を割り込んだ。完全失業者数は前年同月比で33万人減り、259万人となった。
国内景気の緩やかな回復を映して企業の新規求人が活発化、製造業や医療、福祉関連を中心に雇用者数が80万人増加した。総務省は「一部で厳しさは残るが、雇用情勢の改善は進んでいる」と分析している。
男女別の失業率は、男性が10月から0.1ポイント改善して4.2%。女性も0.1ポイントの改善で3.7%。厚生労働省が発表した求職者1人に対する求人数を示す11月の有効求人倍率は、前月と同じ1.06倍だった。
来年からの団塊世代の退職を控え、企業の間で正社員採用を増やす動きが強まった。結婚や育児期に当たる30歳前後の女性の自発的な離職が沈静化した。
今後は緩やかな雇用改善の傾向が続き、専門家の間では「来年半ばには3%台後半で定着する可能性が高い」(大手生保系アナリスト)との見方が大勢だ。
完全失業率は98年4月から4%台となり、デフレが長期化する中で上昇を続けた。人員削減や新卒採用の抑制で雇用環境が悪化、2002年に過去最悪の5.5%に達した。
その後、国内景気が回復し、今年5月には4.0%(小数点以下2位まででは4.01%)に低下した。
1998年の雇用形態別雇用者数は、こちらを参照しました。(2004年版の「労働白書」のようです)
→http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/04/dl/01-1b.pdf
直近の雇用形態別雇用者数は、こちら。(総務省統計局「労働調査・詳細調査」)
→http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/05500.pdf