新年から、共産党の「しんぶん赤旗」が、政治とカネの問題で鋭い記事を載せています。
1つは、自民党、民主党の議員ら18人が、家賃ゼロの議員会館を事務所にしながら、政治資金収支報告書では、1000万円を超える「事務所費」を計上しているという記事。実際には家賃はかからない訳だから、その金は、一体どこへ消えたのでしょうか?
2つめは、ODA(政府開発援助)にかかわって、ゼネコンの平均落札率がこの3年(2003?06年度)で98.6%、2004年度は99.5%になっているという記事。なかには、随意契約になっていたり、応札が1?3社程度というのもあるとのこと。援助先の国、地域の要求に本当にもとづいているなら、こんなことにはならないはず。入札制度だけでなく、海外でのハコモノODAそれ自体にも、どこかおかしなところがあるのではないでしょうか。
家賃ゼロの衆参議員会館に多額の「事務所費」支出 自民・民主議員ら 18人が年1千万円超(しんぶん赤旗)
ODAで談合常態化か 平均落札率99%の年度も(しんぶん赤旗)
家賃ゼロの衆参議員会館に多額の「事務所費」支出
自民・民主議員ら 18人が年1千万円超
[2007年1月3日(水)「しんぶん赤旗」]賃料のない議員会館を資金管理団体の「主たる事務所」にしながら、家賃が中心で領収書のいらない「事務所費」の支出を年間1,000万円以上も計上している国会議員が18人もいることが本紙の調べでわかりました。昨年の臨時国会で自民、公明、民主の各党は外資系企業の献金を解禁する法案を成立させましたが、不透明な政治資金の使い方に、国民の批判が集まるのは必至です。
総務相に提出された2005年分政治資金収支報告書を調べたもの。これによると、自分の資金管理団体の「主たる事務所」を東京・永田町の衆参議員会館の自室に置いている国会議員は自民、公明、民主、社民、国民新党、新党日本など163人にのぼります。国会議員のほぼ5人に1人という比率の高さです。日本共産党の議員は資金管理団体をもっていません。
163人のうち、事務所費や光熱水費、人件費、備品・消耗品費の支出が「ゼロ」という議員は13人で、ほとんどが事務所費を計上しています。その額は、伊吹文明文部科学相の4,146万1,322円、松岡利勝農水相3,359万5,428円を筆頭に1,000万円以上が計18人(表参照)、500万円?1,000万円が12人もいます。
自治省(現総務省)の選挙部政治資金課編集による『逐条解説「政治資金規正法」』(ぎょうせい)によると、「事務所費」は「政治団体の事務所の借料損料(地代、家賃)、公租公課、火災保険料、電話使用料、切手購入費、修繕料等事務所の維持に通常必要とされる経常的な経費が該当する」とされています。
家賃がゼロにもかかわらず、事務所費の支出が何百万円、何千万円というのは不自然です。————————————–
「事務所費」1,000万円以上を計上している議員
伊吹文明・文部科学相 4,146万円
松岡利勝・農水相 3,359万円
中川昭一・政調会長 3,096万円
鈴木俊一・元環境相 3,012万円
金田勝年・前外務副大臣 2,849万円
亀井静香・国民新党代表代行 2,418万円
松本剛明・民主党政調会長 1,866万円
武田良太・衆院議員(無) 1,588万円
江藤拓・衆院議員(無) 1,487万円
加納時男・参院議員 1,416万円
衛藤士郎・元防衛庁長官 1,409万円
佐藤昭郎・参院議員 1,388万円
遠藤利明・文科副大臣 1,313万円
中山太郎・元外相 1,238万円
小坂憲次・前文部科学相 1,192万円
保岡興治・元法相 1,185万円
滝 実・新党日本総務会長 1,141万円
加藤紘一・元自民党幹事長 1,041万円≪注≫金額は万円以下切り捨て。政治資金収支報告書(05年分)で作成。「無」は無所属
ODAで談合常態化か 平均落札率99%の年度も
[2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」]知事が相次いで逮捕されるなど、国内で官製談合が大きな問題になっていますが、日本政府が開発途上国に対して行う政府開発援助(ODA)をめぐっても、不自然な入札が常態化していることが本紙の調べでわかりました。平均落札率(予定価格に占める落札額の割合の平均)が99%を超える年度もあるほか、随意契約や一社のみの入札も多数行われているなど、談合が日常化している疑いが浮かび上がりました。
本紙が調べたのは、入札参加資格が日本企業にしぼられるODAの「無償資金協力」。入札や契約の状況について、外務省が予定価格を公表している2003?05年度の三年分を対象にしました。
このうち校舎や道路、橋りょうなどの“ハコもの”建設が中心の「一般プロジェクト無償」では、3年間に行われた210件の入札のうち、8割を超える174件で、落札率が予定価格すれすれの99%以上で落札されていました。
年度別では04年度が平均落札率99.5%と最も高く、03年度が98.8%、05年度が97.6%と続き、3年分の平均でも98.6%になります。04年度は、9割以上の入札で落札率が99%を超えていました。
ODAで30年間近く海外建設工事を担当してきたゼネコン(総合建設会社)元幹部は、本紙に「ODAの受注は、ほとんどが業者が相談して決めている」と証言しました。落札率が高止まりとなっているODAの実態は、談合の存在を裏付けるものです。
さらに、予定価格を応札額が上回り、入札が不調となった結果、随意契約を結ぶケースが約4割にも及びました。入札に一社しか参加していないケースも、05年度だけで71件中16件もあり、入札が形がい化している実態を示しました。
元ゼネコン幹部は、「談合を疑われないために1回目の入札を不調にし、2回目、3回目で落とすようにした。随意契約に持ち込めば、ほぼ予定価格に近い額で受注できた」と話しています。
談合による高い落札率は、税金の無駄遣いにつながり、国民も被害者といえます。国の責任が問われます。
「無償資金協力」の実施機関である外務省国際協力局は、「談合があるとは思っていない。入札参加企業が少ないのは、海外でプロジェクトを行う一定の体力をもった企業しか参加してこないためだろう。一社入札は望ましいとは思わないが、入札自体は公正に行われている」としています。ODA(政府開発援助) 日本や欧米諸国などの政府が開発途上国にたいして行う援助や出資。援助相手国に返済の義務がない「無償資金協力」と、「有償資金協力(円借款)」があります。「無償資金協力」のうち「一般プロジェクト無償」は主に、病院、橋りょう、農業かんがいなどの建設工事です。05年度予算は約754億円で、「無償資金協力」予算1,765億円のなかでも最も大きなウエートを占めています。「無償資金協力」は外務省所管の独立行政法人「国際協力機構」(JICA=ジャイカ)が業務を実施します。