米原潜、日本タンカーに衝突

ペルシャ湾出口のホルムズ海峡で、日本のタンカーに、米原潜が衝突する事件が発生。

米原潜と衝突後、UAE沖に到着にした「最上川」=9日〔共同〕

タンカーは、船底に傷が入り、バラストに浸水したけれども、自力で航行してアラブ首長国連邦の港に入港。乗組員にも怪我はないとのことで、何よりです。しかし、万一のときには大事故になった可能性もあった大事件であることには変わりありません。なのに、日本のメディアの扱いの小さいこと!

米原潜と日本船が接触・アラビア海で(NIKKEI NET)
米原潜が日タンカーと衝突 全員無事(スポニチ Annex)
「商船ならあり得ない」 米原潜に憤り、川崎汽船(北海道新聞)
官房長官「事実関係を米に確認中」 米原潜と日本船衝突(Sankei WEB)
米原潜、事故直後の交信で名乗らず 事故処理に不透明感(朝日新聞)
米海軍第5艦隊、「事故は潜航中」 接触事故(朝日新聞)
米原潜と日本タンカー衝突 ホルムズ海峡、乗組員無事(東京新聞)

さらに、日本の外務省は、第一報に近い段階で、原潜は浮上して航行中だったと言ったそうです。しかし、すでに米海軍第5艦隊が潜行中だったことを認めており、外務省の情報がでデタラメだったことは明白です。このあたりにも、外務省の無責任さ、というか、露骨にアメリカの方を向いていて、日本国民の安全など全然考えていないということが現われています。

しかし、それはそれとして、潜行中は、当たり前のことながら、衝突回避の責任は潜水艦側にあります。それを怠っていたという点ではえひめ丸事件のときと同じ。さらに、タンカー側からの問いかけに、当初は船名を名乗らなかったとか。あらためて、米軍の無責任ぶりに怒りがわきます。

↓これがおそらく第一報。もうこの段階で「政府筋」は「軽微な接触」と入っています。また、午前7時半には、米軍から直接防衛省に連絡が入っていたようで、はたして政府への連絡とどちらが早かったのか、疑問です。

米原潜と日本船が接触・アラビア海で
[NIKKEI NET 2007/01/07 12:06]

 日本政府関係者は9日午前、アラビア海で米原子力潜水艦と日本の船舶が衝突したとの情報が外務省に入ったことを明らかにした。「詳しい状況は分からず確認中」としている。別の政府筋は「軽微な接触とみられる」と話した。
 一方、米海軍から午前7時半ごろ防衛省に入った連絡では、米原潜と衝突したのは日本の民間船舶。死傷者は確認されていないという。

↓こちらが、その次あたりに、共同が流したニュース。ここでは、「外務省は、原潜は事故時、浮上して航行中だったとして」いると明記されています。一体何を根拠に、こんな情報を流したのでしょうか。

米原潜が日タンカーと衝突 全員無事
[スポニチ Annex 2007年01月09日 13:31 速報記事]

 ペルシャ湾のホルムズ海峡付近で8日午後10時45分(日本時間9日午前4時15分)ごろ、米原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」(6300トン)と日本の川崎汽船所属の大型タンカー「最上川」(29万9999重量トン)が衝突した。双方の乗組員らにけがはなく、タンカーの原油流出や原潜の放射能漏れもなかった。
 原潜が所属する米第五艦隊(司令部バーレーン)のデニス・ガルシア大尉は9日、共同通信の電話取材に「潜水艦は事故直前まで潜水していた」とする一方、浮上時に衝突した可能性があることについて「その通りだ」と述べた。
 浮上時の衝突であれば潜水艦側が周囲の見張りなど適切な事故回避措置を怠った可能性が出てくるだけに、どの時点で衝突したかが今後の責任問題をめぐる焦点となる。
 日本の外務省は、原潜は事故時、浮上して航行中だったとしており、関係者から事情を聴く方針。最上川はバラストタンク後部の船底を損傷したが、排水して自力航行できるという。
 国土交通省や川崎汽船などによると、最上川は衝突時に大きな音がして船体が2度振動した直後に浸水。米原潜から最上川に「救助の必要があるか」と連絡が入ったが、潜水艦であることを名乗った以外、交信での照会に答えなかったという。第5艦隊側はこの点について「調査中」としている。
 川崎汽船の吉田克衛専務は9日、都内で記者会見し、事故原因について「予断をはさむことはできない」と述べた。
 最上川は、アラブ首長国連邦(UAE)のハウルファッカン港の沖合に到着、ダイバーによる点検を受ける予定。乗組員は日本人8人、フィリピン人16人で、サウジアラビアからシンガポールへ原油を運んでいた。
 第5艦隊によると、原潜は衝突で艦首部を損傷したが、任務遂行は可能。衝突時は不審船を警戒する「海洋保安行動」のパトロール中だった。
 ホルムズ海峡はアラビア海などに挟まれたエリア。同海では、ソマリアのイスラム勢力の動向を警戒するため米軍の行動が活発化している。 (共同)

↓こちらは衝突されたタンカーを所有する会社の記者会見。

商船ならあり得ない」 米原潜に憤り、川崎汽船
[北海道新聞 2007/01/09 18:53]

 米原子力潜水艦と衝突した大型タンカー「最上川」を所有する川崎汽船は9日午後、東京都港区の本社で記者会見を開き、事故対策本部長を務める吉田克衛専務が、事故の直後に国籍や船籍を明らかにしなかった原潜の対応に「普通、商船同士ではこういうことはあり得ない」と憤った。
 吉田専務は、2001年2月にハワイ沖で発生した実習船えひめ丸と米原潜の衝突事故を念頭に「以前も事故がありましたからね」と発言。最上川は規定ルートを航行しており「相手が原潜ならば、こちらの船の情報は把握していただろう」と語った。
 事故原因については「現時点では不明。予断をはさむことはできない。こちらが衝突されたのかどうかも今の時点ではコメントできない」と慎重な姿勢を崩さなかったが「今後の対応は検討しないと」とも話した。

↓こっちでは第一報は外務省と在米日本大使館にあったとしていますが、時間は午前9時以前であるようですが、防衛省への第一報(午前7時半)以前だったかどうかは不明。

官房長官「事実関係を米に確認中」 米原潜と日本船衝突
[Sankei WEB 2007/01/09 19:03]

 塩崎恭久官房長官は9日午後の記者会見で、ペルシャ湾のホルムズ海峡付近で起きた米原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」と日本の大型タンカー「最上川」の衝突事故について、同日午前中に米側から外務省と在米日本大使館に第一報があったことを明らかにした上で、「事実関係や原因究明について、米側に確認中だ」と述べた。
 塩崎氏は、米原潜が事故直後には国籍などを明らかにしなかったことに関しては、「そういう詳細については、十分確認をしていない」と述べるにとどめた。
 塩崎氏は日本政府内の情報伝達について「政府のどこに最初に(情報が)入ったか正確なところは承知していない」とした上で、「(午前9時の)閣議の段階では既に知っていた」と述べた。

米原潜、事故直後の交信で名乗らず 事故処理に不透明感
[asahi.com 2007年01月09日20時13分]

 「けが人はなく、原油漏れの心配もない」。9日朝、ペルシャ湾のホルムズ海峡で起きた米原潜接触事故。船底を損傷したタンカー「最上川」の関係者は、被害が少なかったことに胸をなでおろした。一方で、衝突相手が米軍とあって、事後処理を巡っては不透明感も漂った。
 最上川を所有する川崎汽船(東京都港区)は9日午前5時半ごろ、「大きな音とともに船体が大きく振動した」と電話で一報を受け、事故対策本部を設けて情報収集にあたった。
 同日午後に記者会見した対策本部長の吉田克衛専務は、事故直後に原潜と最上川が無線交信した際、原潜側が船籍や船名を名乗らなかったことを明らかにした。
 同社によると、最上川には衝突直後に原潜側から無線で「衝突したようだ。アシストは必要か」と連絡が入った。最上川は船籍や船名を尋ねたが、原潜側は「サブマリン」と答えただけで、その後の交信でも原潜側の情報は一切、明らかにされなかったという。
 吉田専務は「商船同士ではこうはならない。この点については今後、検討しなければならない」と厳しい表情を見せた。また、潜航している側にあるとされる事故の責任については「現時点では何とも言えない」と繰り返し、衝突相手が米軍だったことによる事態の複雑さをのぞかせた。
 ホルムズ海峡は難所とされるが、同社は「狭い水路を航行するときのマニュアルに従っていた。航路を外れたとは聞いていない」と説明。船長は船長歴7?8年だったという。
 最上川の乗組員は9日午後1時ごろ、朝日新聞の電話取材に、「とにかく全員無事でけがもなく、大丈夫です」と答えた。

米海軍第5艦隊、「事故は潜航中」 接触事故
[ashi.com 2007年01月09日20時23分]

 米海軍第5艦隊は9日、米原潜ニューポート・ニューズと日本のタンカー最上川との接触事故に関する発表文を出し、事故は現地時間の8日午後10時15分(日本時間9日午前4時15分)ごろ、ニューポート・ニューズがホルムズ海峡を「潜航して移動中に」発生したと明らかにした。原潜が受けた損傷の詳細は把握中だが、推進機関(原子炉)には何の影響もなく、放射能漏れはなかったと確認した。事故原因については、調査中とだけ記している。双方とも乗組員にけがはないとしている。

↓こちらが、共同通信の取材に米第5艦隊が、原潜が事故当時潜水中であったことを認めた記事。

米原潜と日本タンカー衝突 ホルムズ海峡、乗組員無事
[東京新聞 2007年01月09日 21時48分]

 【ハウルファッカン(アラブ首長国連邦)9日共同】ペルシャ湾のホルムズ海峡付近で8日午後10時45分(日本時間9日午前4時15分)ごろ、米原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」(6,300トン)と日本の川崎汽船所属の大型タンカー「最上川」(299,999重量トン)が衝突した。双方の乗組員らにけがはなく、タンカーの原油流出や原潜の放射能漏れもなかった。
 原潜が所属する米第5艦隊(司令部バーレーン)のデニス・ガルシア大尉は9日、共同通信の電話取材に「潜水艦は事故直前まで潜水していた」とする一方、浮上時に衝突した可能性があることについて「その通りだ」と述べた。
 浮上時の衝突であれば潜水艦側が周囲の見張りなど適切な事故回避措置を怠った可能性が出てくるだけに、どの時点で衝突したかが今後の責任問題をめぐる焦点となる。

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