大手人材派遣会社のフルキャストが、派遣法で禁止された警備業務にスタッフを違法派遣していた容疑で、宮城県警の捜査を受けました。
県警は、フルキャストに違法性の認識があったかどうかを問題にしていますが、同社は、昨年8月にも違法派遣で神奈川労働局の指導を受けています。いまさら、「禁止されていたとは知りませんでした」という言い訳は通用しません。
フルキャストを捜索 警備業務に違法派遣容疑 宮城県警(朝日新聞)
フルキャストを捜索 警備業務に違法派遣容疑 宮城県警
[asahi.com 2007年01月12日17時58分]人材派遣大手のフルキャスト(本社・東京都渋谷区)が、労働者派遣法で禁じられた警備業務にスタッフを派遣していた疑いが強まったとして、宮城県警は12日午前、都内の本社や、仙台市青葉区の仙台支店などの捜索を始めた。昨年春以降、少なくとも延べ数十人のスタッフが派遣されていたと県警は見ており、本社側に違法性の認識があったかどうか、解明を進める。
生活安全企画課などの調べでは、フルキャストは昨年10月上旬、仙台市に住む男性スタッフ数人を、埼玉県所沢市の警備会社の仙台市にある東北支社に派遣。他人の生命を守る責務がある専門職のため警備員の派遣は同法で禁じられているにもかかわらず、仙台市泉区のスーパーマーケットの駐車場で交通誘導に従事させた疑い。
男性スタッフは「事前にフルキャストから『交通整理をしてもらう』と説明を受けて、派遣された」と話しているという。
警備業法などでは、警備員に30時間以上の教育を課すことなどを義務づけているが、この警備会社は、男性スタッフらを業務当日に駐車場に集めて、教育を受けさせずに交通誘導にあたらせていたという。この警備会社も昨秋、警備業法違反容疑で捜索を受けている。
フルキャストは昨年8月、労働者派遣法で禁じられた建設業務に派遣労働者を従事させていたとして、神奈川労働局に是正指導を受けていた。
フルキャストのホームページによると、同社は昨年9月末で154万人の登録スタッフがいる業界大手。東証1部上場で、昨年9月期の連結売上高は901億円。宮城球場がプロ野球楽天の本拠地になるにあたり、命名権(ネーミングライツ)を05年から3年契約で取得している。
↓こっちが、フルキャストが昨年8月に神奈川労働局から違法派遣で指導を受けていた、というニュース。ニュースになったのは去年の12月のことですが。
派遣労働者に違法な業務/フルキャストと関連会社
[四国新聞 2006/12/10 02:33]人材派遣大手の「フルキャスト」(東京)とグループ会社から、横浜市の養護学校改修工事など2カ所の建設現場に日雇い方式で派遣された労働者が、労働者派遣法で禁じられている建設業務をさせられていたことが9日、労働者らの話で分かった。廃材の運搬や清掃業務の契約で派遣されたが、壁や床を壊す作業などを命じられていた。
神奈川労働局は8月、別の建築現場で同社の派遣労働者が同様に違法な建設業務に従事したとして是正指導した。
同社は「事前に建設業務と分かっていれば派遣しなかった。労働者の安全確保のため、今後も派遣先の業務内容の把握に努めたい」としている。
日雇い派遣は、1日ごとに仕事先が異なるため、労務管理が行き届かず、違法な派遣が多いとされ、今回はその一端が明らかになった。
2カ所の建設現場は横浜市西区の商業ビルの店舗改装工事と同市瀬谷区の養護学校の改修工事。2月8日と7月29日に計約15人の労働者が運搬業務などの契約で派遣された。
ちなみに、これが、そのときのフルキャスト社のプレスリリース。「派遣先での業務を正確に把握し、以後、同様の問題が再発しないよう、従業員一同万全の体制で臨む所存です」と言いながら、まったく体質は変わってなかったということです。
→新聞報道に関するお知らせ(2006年12月11日) ※PDFファイルが開きます。
ピンバック: フルキャスト ブログ支店