年末に明らかになった残業代不払い事件2件。
経済の元締め、日本銀行でもサービス残業というのは、日本の企業がいかに法令遵守という点でデタラメかということの象徴のようなものです。北陸電力では、時間外労働は「自己申告」といっていますが、労働時間を管理する義務は企業にあります。残業時間の「自己申告」「自主管理」がサービス残業の温床。まだ、こんなやり方を続けていたとは…。
日銀サービス残業 未払い1億6800万円(読売新聞)
北電 サービス残業 4億7000万円(中日新聞)
室蘭工大で残業代3670万円未払い(日刊スポーツ)
日銀サービス残業 未払い1億6800万円
[2006年12月27日 読売新聞]日本銀行は26日、今年3月から8月末までの6か月間で、2368人の職員に計1億6800万円の賃金未払い残業(サービス残業)があったと発表した。
未払い分は来年1月に全額を支払う。同日、中央労働基準監督署に報告した。
同行は「管理職を含む全行員への研修で、適正な労働時間管理を意識付け、サービス残業の再発を防止する」としている。
北電 サービス残業 4億7000万円
04年から2年間分 1900人に来月支払い
[中日新聞 2006年12月23日]北陸電力(富山市)は22日、2004年9月から06年8月の2年間で、時間外賃金の一部が社員に支払われないサービス残業があったとして、社員に未払い分の総額約4億7000万円を支払うと発表した。対象は全社で約1900人。平均支払額は1人当たり約25万円。来年1月の給与日に支払う。
北電によると、賃金請求権が残る2年前にさかのぼり、時間外賃金の支給対象となる約4400人の社員について自主的な社内調査を実施。
北電の時間外労働は自己申告制だが、パソコン使用時間や出退社記録などのデータや個別面談で調べた結果、1人当たり月平均約3.5時間、金額で約1万円のサービス残業が分かった。
調査は、ことし7月、福井県越前市の丹南支社が、サービス残業に関して労働基準監督署から個別指導を受けたのをきっかけに行った。
今回の件について北電は「法令順守や従業員の健康管理の観点から、さらなる労働時間管理の徹底を図りたい」とコメントした。
再発防止策として、各職場に適正な労働時間管理や長時間労働を防ぐ労務管理責任者を配置。さらに、ICカードによる出退社記録やパソコン使用データなどに基づくシステムを来年3月に導入する。
室蘭工大で残業代3670万円未払い
[日刊スポーツ 2006年12月22日12時38分]室蘭工業大(北海道室蘭市、松岡健一学長)は22日、事務職員80人の残業代約3670万円を支払っていなかったとして、室蘭労働基準監督署から是正勧告を受けたと発表した。
室蘭工大によると、04年8月から06年7月までの間、80人にサービス残業させていた。職員が残業時間を過少申告していたとしている。21日、未払い残業代を払うことを決めた。
松岡学長は「適正な勤務時間の管理を徹底したい」とコメントしている。
残業代未払いが発覚するたびに、賃金請求権の残る2年前まで遡って不払い残業代が支払われますが、これは、賃金未払いが発覚したときに、労働者の側が裁判などで遡って企業に請求できる期限を示しただけ。たとえば、企業側が、残業の実態を2年以上前まで遡れるのなら、それについてもきちんと支払うべきです。