本屋で、ジェラール・デュメニル、ドミニック・レヴィ『マルクス経済学と現代資本主義』(こぶし書房)という本をぱらぱら見ていたら、36ページに、アメリカの「利潤率の歴史的動向」として、こんなグラフが出ていました。
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誰か、このグラフの説明をしていただけないでしょうか。そもそもアメリカについて、このグラフは実証されているのでしょうか。それから、これと同じようなことが、アメリカ以外の国でも検証されるのかどうかも教えてください。
注によれば、このグラフでの利潤率は、「利潤の粗量(総収入から賃金費用を差し引いたもの)の固定資本ストックにたいする割合」と定義されています。この定義で、利潤率がはかれるのかどうかもよく分かりません。たとえば受取配当利益はどうなっているか、など。
このグラフを見る限り、1870?1890年は、明らかに利潤率は低下しています。1950?70年代前半も低下しています。それに対して、1910?1950年は上昇していますが、この部分は1929年恐慌による著しい落ち込みと、第2次大戦による高利潤を含めてトレンドを出すことに意味があるのかどうか、ぼくにはよく分かりません。で、それに対して、1980年代後半からは顕著に利潤率が上昇しています。
いうまでもなく、利潤率が長期的に傾向的に低下しているかどうかというのは、マルクスの「利潤率の傾向的低下法則」の問題として、理論とともに実証の問題としても非常に重要な問題です。そこで、上記のような質問になるわけです。グラフは1870年代以降ですが、もしそれ以前の、イギリスについても、同じように利潤率の低下トレンドの時期にあったのなら、マルクスが「利潤率の傾向的低下」を言ったのは、たんに理論的な帰結というだけでなく、現実の問題としてそうだったということになります。また、そういうふうに考えた場合、第2の時期は除くとしても、最近の第4の時期について、利潤率が低下するどころか上昇しているのはなぜか、それはマルクスがあげたような反対要因の問題なのか、それとも、資本の有機的構成が高度化しなかったからなのか、そのあたりも知りたいと思います。
このあたりについてご存じの方、文献だけでも結構ですので、ぜひご紹介ください。m(_’_)m ←といいつつ、本そのものはこれから読むところなんですが…