月曜日、サントリーホールで読売日響第456回定期演奏会を聞いてきました。今年初めてのコンサートです。指揮はテオドール・グシュルバウアー。プログラムは以下の通り。
シューマン:“ゲノフェーファ”序曲 op.81
シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38 “春”
(休憩)
シューマン:歌曲“悲劇”(ハイネの詩による)
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61
ということで、なかなか珍しいオール・シューマン・プログラム。しかも交響曲がいっぺんに2曲も聴けるという贅沢なプログラムとなりました。
この日の4作品のなかで、予想外の収穫だったのは歌曲“悲劇”。全部で3番まであるこの歌曲ですが、1番は、恋に燃え上がり、何も恐れるものもなく、恋人に駆け落ちしようとせまる男性の歌。明るいハイテンションな曲調は、2番になると一転し、女性が、駆け落ちした若い恋人たちが「国々をさすらい歩き、幸せにめぐりあわずに、二人ともやつれて死んだよ」(井上正蔵氏の訳詩による)と哀調たっぷりに歌い上げます。そして3番は二重唱で、菩提樹の下にすわる恋人たちが、小鳥たちの哀歌に、なぜか突然黙り込み、泣いてしまったけれども、なぜ泣いてしまったのか分からない、という場面で終わる、という不思議な歌です。ソプラノの堪山貴子さん、テノールの高橋淳さんともに非常にすばらしく、このハイネの詩による歌曲の不思議な展開に魅了されました。
グシュルバウアー氏は、なかなかていねいな指揮ぶりでしたが、読響の弦がやや糸を引くみたいな感じだったのがちょっと残念。もう少し軽やかだと、シューマンの交響曲の華やかさが引き立ったのではないかと思いましたが、哀感の部分はたっぷり堪能させていただきました。
【演奏会情報】読売日本交響楽団第456回定期演奏会
指揮:テオドール・グシュルバウアー/ソプラノ:堪山貴子/テノール:高橋淳/コンサートマスター:デヴィッド・ノーラン/会場:サントリーホール/開演:1月22日(月) 19:00?