厚生労働省の「毎勤統計」によると、2006年の実施賃金は前年比0.6%減。名目では0.2%増だが、物価がゆるやかに上昇し始めており、実質賃金はふたたびマイナスに。「景気回復」といっても、国民のふところは冷え込んだままです。
厚生労働省の発表資料はこちら。
→毎月勤労統計調査 2006年分速報
もともと、不況と企業による賃金切り下げのもとで、実質賃金は2005年まで5年連続マイナスになっていました。ようやく2005年にプラスになったと思ったら、ふたたびマイナスになってしまった訳で、これでは本格的な景気回復など望めそうにありません。
実質賃金2年ぶり減 景気回復 家計に波及せず
[東京新聞 2007年1月31日付夕刊]厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)の2006年まとめによると、物価上昇分を差し引いた06年平均の実質賃金は前年比0.6%減となり、2年ぶりに減少した。物価が緩やかに上昇する中で賃金の伸びは抑えられ、景気回復の恩恵が家計に及んでいないことがあらためて浮き彫りになった。
残業代などすべての給与を合わせた現金給与総額の月平均は、0.2%増の33万5522円と2年連続で増加。
しかし、所定内給与は0.3%減の25万2810円と、2年ぶりに減少した。
所定内給与が減った理由について厚労省は「若年者を中心に(賃金が安い)パートや契約社員など非正社員が増えた結果」(雇用統計課)としており、企業が安価な労働力にシフトする動きが昨年も継続していたと分析した。
実質賃金は、現金給与総額をもとに物価上昇分を考慮して算出する。1998年以降マイナス基調だった実質賃金は05年に5年ぶりにプラスに転じたが、再びマイナスとなった。
短期のアルバイトを除く常用労働者は1.0%増の4353万3000人と3年連続で増加。伸び率は94年以来、12年ぶりの高水準となった。
このうち、正社員を主体とするフルタイムの一般労働者は0.9%増の3245万5000人で、伸び率は12年ぶりの高水準。パートタイム労働者は1.4%増の1107万8000人だった。
同時に発表した06年12月の統計では、所定内給与が前年同月比0.7%減の25万2326円で8カ月連続のマイナス。賞与など特別に支払われた給与も0.5%減の33万7806円だった。
ちなみに、「毎勤統計」は事業所を対象とした調査。「常用労働者」という中には、パートやアルバイトも含まれます。
↓厚生労働省の定義。(これは、こちらの「調査の説明」で読むことができます)
3 常用労働者
事業所に使用され給与を支払われる労働者(船員法の船員を除く)のうち、
- 期間を定めずに、又は1ヵ月を超える期間を定めて雇われている者
- 日々又は1ヵ月以内の期間を定めて雇われている者のうち、調査期間の前2ヵ月にそれぞれ18 日以上雇い入れられた者
のいずれかに該当する者のことをいう。
- 一般労働者
常用労働者のうち、次のパートタイム労働者以外の者- パートタイム労働者
常用労働者のうち、
- 1日の所定労働時間が一般の労働者より短い者
- 1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週の所定労働日数が一般の労働者よりも短い者
のいずれかに該当する者のことをいう。
この定義でも分かるように、「1日の所定労働時間が一般の労働者より短い」パート労働者であっても、1カ月以上の約束で雇われている場合はもちろん、日々雇用でも2カ月連続で月18日以上仕事をしていれば、「常用労働者」になります。この調査があくまで企業の側からみた統計調査だということがよく分かります。