経済同友会が、政府の2007年「骨太方針」に向けて、提言を発表。
まず出だしから、「、日本経済の地盤沈下が着実に進んでいることも厳然とした事実」「経済同友会は日本の国際競争力の劣化に対し、深刻な危機感を持っている」と、深刻な危機感を表明。競争力回復のためには、「抜本的な公務員制度改革を実施し、地方主導・民間主導型社会へと大きく国のガバナンスを革新する構造改革が不可欠」としている。
目次は以下のとおり。
1. 「小さくて効率的な政府」の実現
(1) 公務員制度改革
(2) 地方分権改革
(3) 歳出・歳入一体改革
2. 持続可能な社会保障制度の構築と少子化対策
(1) 年金制度改革
(2) 少子化対策
3. 成長力の向上
(1) 規制改革
(2) 新事業創造・研究開発の推進
(3) アジアとの連携強化
内容としては、1.(3)の「歳出・歳入一体改革」で、「税と社会保障を一体的に捉え、総合的な国民負担率を国民所得比40%程度の負担に抑える」ことを提起している。
2.(1)年金制度改革では、1人当たり年額84万円(月額7万円)の「新基礎年金制度」を創設し、その財源として「年金目的消費税」をあてるとしている。しかし、これが現行消費税を年金目的税に振り替えるのか、それとも現行消費税とは別に「年金目的消費税」をつくるのか、はたまた「年金目的消費税」の税率がどれくらいになるのかは書かれていない。
2.(2)少子化対策にかこつけて、労働法制の規制緩和、「働き方に中立的な税制・社会保障制度」を要求している。「働き方に中立的な社会保障制度」というのは、前から財界の要求項目だった。厚生年金のように、企業と労働者が2分の1ずつ掛け金を折半するような制度と、国民年金のように全額本人負担の制度とが並立していると、働き方によって年金負担の仕方が違ってくるので、企業負担を全廃して、厚生年金も国民年金と同様に全額本人負担にしよう、というもの。つまり、サラリーマンからすれば、年金の掛け金の負担を2倍にするか、受け取る年金を半分にするしかないというとんでもない要求なのだが、「働き方に中立的な税制」の方は、いったい何なのだろう? いまの所得税のやり方は、所得の捕捉、控除のあり方で「中立的でない」ということになるのだろうか。そうなると、「働き方に中立的な税制」は、消費税一本にするか、古代の人頭税や住民税の均等割のような一律課税しかなくなると思うのだけれど…。なんにせよ、とんでもない税制になるぞ。
3.(1)規制改革では、「保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療の全面解禁」を要求。
最後に、3.(3)として「アジアとの連携強化」を謳っているのは、前にも書いたように、(「成長を未来につなぐ―生産性向上による豊かな国民生活の実現」2007年2月22日)とも共通する特徴。