厚生労働省が、23日までに、都道府県労働局長あてに、「偽装請負」の労働者について企業側に直接雇用を求めて指導するよう通知を出していたことが明らかに。
「偽装請負」指導厳格に 企業に直接雇用求める(北海道新聞)
「偽装請負」直接雇用指導へ 厚労省、派遣へ転換認めず(朝日新聞)
いわゆる「偽装請負」について、厚生労働省は、これまで「偽装労働」が発覚した場合に、企業が派遣に切り替えるのを容認していました。しかし、労働者派遣法は、期間制限(これまでは製造業の場合は1年。今年3月から3年に延長)を超えて働かいた場合は、企業はその労働者にたいして直接雇用を申し入れる義務があるとしています。ですから、「偽装請負」=本来は派遣の状態で、期間制限以上に働いていたにもかかわらず、派遣への切り替えを認めることは、この法律の規定に反していることになります。
そこで、今後は、この規定に従い、「偽装」で3年以上働かされていた場合に、(正式の)派遣への切り替えを認めず、企業にたいし直接雇用をおこなうよう指導していく、というものです。
「偽装請負」指導厳格に 企業に直接雇用求める
[北海道新聞 2007/03/24 22:25]厚生労働省は24日までに、労働者派遣法に違反する「偽装請負」について3年を超えて続けていた場合には、請負労働者を正社員や契約社員などの形で直接雇用したり、ほかの仕事をあっせんしたりするよう企業側を是正指導することを決めた。
従来は、労働者派遣の期間制限を超えて働かせていた場合も事実上、派遣社員への切り替えを認めていたが、不安定な雇用形態のまま働かせ続けることを避けるため指導を厳格化。都道府県の労働局長に通知を出した。
偽装請負は、実際は労働者派遣なのに、契約上は請負とするケース。請負労働者の労働条件の劣悪さや雇用の不安定さ、企業のコンプライアンス(法令順守)が問題になっている。
2004年3月に解禁された製造業に対する労働者派遣の期間制限が今年3月から、経過措置の1年間から3年間に延長されたことをきっかけに、指導内容を見直した。
で、こちらが「朝日新聞」2月27日の記事。先取り的に、こんどの通知の内容を紹介しています。
「偽装請負」直接雇用指導へ 厚労省、派遣へ転換認めず
[asahi.com 2007年02月27日07時18分]労働者を派遣社員のように働かせながら、請負契約を装う違法な「偽装請負」について、厚生労働省は、大手メーカーなど受け入れ企業に、労働者を直接雇用するよう指導することを決めた。偽装請負が判明した時、これまでは派遣契約への切り替えを認めていたが、偽装請負で働いた期間が派遣で認められる期間を超える場合は、早期の直接雇用を指導する。企業にとって、偽装請負の最大の利点である直接雇用の回避が難しくなり、製造業で特に多い偽装請負の解消の動きが一気に加速しそうだ。
製造業への労働者派遣は、04年3月に解禁された。派遣の立場が固定化しないよう、派遣可能期間を超えて働かせる場合、企業が労働者に直接雇用を申し込む義務も導入。製造業への派遣可能期間は、今年3月に1年から3年に延長される。
一方、厚労省は偽装請負の改善手段として、これまで派遣契約への切り替えを認めてきた。05年10月に文書指導したキヤノン宇都宮工場の事例でも、企業側が示した06年3月以降に派遣に切り替える改善計画を認めた。1年の派遣可能期間を超えて働かせている場合は、直接雇用を指導することも可能だが、企業の負担に一定の配慮をしていた。
しかし、製造業の派遣期間が3年になると、長年偽装請負をしていた企業が、発覚後にさらに3年間も派遣として働かせることになる。そこで今後は、直接雇用に切り替えるよう、口頭を含め、指導を厳格にしていく。厚労省は「派遣制度は製造業に定着してきており、指導を強めていく段階」としている。
偽装請負の期間も派遣期間と見なし、労働局が直接雇用を指導した事例はすでにある。大手機械メーカー、クボタの子会社は、今年1月に偽装請負で大阪労働局の指導を受けた。このためクボタは、グループ全体の派遣労働者1400人を4月から順次契約社員にする。「行政の指導強化を受け、法令順守を徹底することにした」という。
今後は、請負労働者が労働局に直接雇用の指導を求める動きが広がる可能性がある。人材会社も営業基盤を失うことにつながるので、法令順守の徹底を迫られる。ただし厚労省は、すでに派遣契約に切り替えて、偽装請負が解消された事例まで指導の対象とすることには慎重だ。◇
〈キーワード・偽装請負〉人材会社がメーカーなどから仕事を請け負い、製品やサービスを引き渡す請負契約を装うが、実際は労働者をメーカーなどに送り込み、派遣社員のようにメーカーが直接指示したり、メーカーの社員と混在して働かせたりすること。派遣社員だと労働者派遣法に基づき、直接雇用の申し込みなど様々な義務を負うので、こうした義務を免れながら長期間働かせることを狙う。
厚生労働省が、偽装請負で人材会社など請負事業者を文書指導した件数は、06年4?12月の間に1403件に上り、05年度の倍以上に急増。大手メーカーなど発注業者への指導も582件と、1.6倍に増えている。
しかし、「偽装請負」や、派遣法の定めに反して長期にわたって派遣のまま働かせるなど、直接雇用義務をまぬかれるための企業の不当行為はあとを絶ちません。
キヤノン、派遣・請負から3500人を直接雇用へ
[2007年3月25日3時14分 読売新聞]キヤノンは2007、08年度の2年間に、国内のグループ19社の製造部門で働く計3500人の派遣社員や請負労働者を、正社員などの直接雇用に切り替える計画を明らかにした。
同社は、請負業者の労働者を、正社員の指揮下に入る派遣社員のように働かせる「偽装請負」があったとして、03?05年に労働局から計7件の文書指導を受けた。この問題の反省を踏まえ、派遣社員らの正社員化に取り組む姿勢を強める。
2年間にグループの製造部門で新卒採用を含め計5000人を正社員などの直接雇用で採用。このうち、現在、派遣社員や請負労働者として間接雇用している従業員から1000人を中途採用の正社員として、2500人を契約期間3年未満の期間社員として採用する計画だ。
同グループの製造部門では、従業員の75%にあたる約2万1400人が間接雇用(派遣社員約1万3000人、請負労働者約8400人)。偽装請負の指摘を受けて昨年8月、御手洗冨士夫会長(日本経団連会長)の指示で「外部要員管理適正化委員会」を設け、雇用形態を見直してきた。
団塊世代の大量退職を背景とした人材確保や「偽装請負」問題を契機に、大手企業では間接雇用の非正規社員を直接雇用に切り替える動きが広がっている。
直接雇用を拡大することはいいことですが、派遣や請負から正社員になれるのは1000人だけ。グループ全体では2万人以上いる訳だから、実に“狭き門”です。期間社員は、「偽装請負」よりはましですが、3年たったあとも継続されるかどうかは不明。不安定雇用であることには変わりはありません。
↓こっちは、タイガー魔法瓶に人材派遣会社から派遣されていた女性が、「偽装請負」だと訴えたところ、契約解除、つまりクビになったというニュース。
タイガー魔法瓶に派遣社員が提訴──「不当に契約解除」(日経ネット関西版)
タイガー魔法瓶に派遣社員が提訴──「不当に契約解除」
[日経ネット関西版 2007年2月26日]タイガー魔法瓶(大阪府門真市)で5年以上派遣社員として働いていた女性(30)が、派遣期間の制限を免れるための「偽装請負」を労働局に訴えた直後に不当に契約を打ち切られたとして、正社員としての地位確認や慰謝料300万円などを求める訴訟を26日、大阪地裁に起こした。
訴状などによると、女性は2001年9月以降、タイガー魔法瓶で研究開発の補助業務に従事。形式的には人材派遣会社との業務請負契約だったが、実際にはタイガー社社員の指示を受け、出張などを命じられることもあった。
女性は昨年11月、大阪労働局に、「偽装請負」にあたり、同社は直接雇用する義務があるとして訴えた。同労働局が是正するようタイガー社に指導をしたところ、1週間後に契約を解除され、社内への立ち入りも拒否されるなどした。
タイガー魔法瓶の話 訴状を見ていないのでコメントできない。
人材派遣会社との業務請負契約、というのが、そもそも怪しい…。しかし、なんにせよ、5年間も派遣で働かせたのであれば、タイガー魔法瓶に直接雇用を申し入れる義務があるのは明らか。そこを「業務請負だ」と言って言い逃れたいのかもしれないけれど、それは、人材派遣会社と本人との関係。女性とタイガー魔法瓶とには関係のない話です。
↓こっちは、ヤマダ電機が職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)で指導されたというニュース。
家電量販店でよく見かけますが、メーカーから派遣されて量販店で商品の説明などをしている、いわゆる「ヘルパーさん」。このヘルパーさんの人件費など、ヤマダ電機は一切支払っていないにもかかわらず、社員と同じように、接客などを指示、休日出勤などもヤマダ電機が管理、他社製品の売り込みもふくめ、販売ノルマを課すなどしていたといいます。しかも、ヘルパーさんの数が尋常ではありません。10社以上から200人、ヤマダ電機の社員の7割に相当する、というのですから。
「ヘルパー管理、違法」…ヤマダ電機大型店に是正指導(読売新聞)
「ヘルパー管理、違法」…ヤマダ電機大型店に是正指導
[2007年3月17日 読売新聞]家電量販店最大手・ヤマダ電機(本社・前橋市)の大阪市内の大型店舗で、「ヘルパー」とよばれる家電メーカー販売員に店側が業務の指示・命令を行っていた問題で、大阪労働局は、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)と認定、同店とメーカー数社に対して是正指導した。店側は契約関係がなく、人件費も一切負担していないヘルパーを実質、管理下に置いて従事させており、その就労実態はメーカーからの違法な労働者供給にあたると判断した。家電量販店業界は、強い販売力を背景に、メーカーから多数のヘルパーを受け入れているが、管理を巡る違法性が明らかになるのは初めて。今後、業界としても見直しを求められそうだ。
是正指導を受けたのは、大阪市浪速区の「LABI1(ラビワン)なんば」店。
関係者によると、大阪労働局が1月24日に立ち入り調査した際、10社以上のメーカーのヘルパー計約200人が働いていた。同店の社員数(約270人)の7割に相当するという。
同店は、イヤホンとマイクがセットになった無線装置の着用をヘルパーに義務付け、同装置を通じて接客などを指示。社員と同形式の社名入り名刺を支給し、顧客には社員と区別しにくい形にしていた。
また、「休日希望」を提出させ、毎月の勤務ダイヤも店側で作成していた。
こうしたことなどから、労働局は、同店が実質、ヘルパーを労務管理し、日常の業務を直接、指示・命令していたと判断。本来、管理すべきメーカーから、職業安定法44条で禁じられた労働者の提供を受けていたとして15日、同店とメーカー双方を是正指導した。法令違反を通告して改善を求める行政指導で、双方に後日、改善結果を報告するよう指示した。
同法などによると、ヤマダ電機側が指示・命令できるのは、直接雇用した社員やパート従業員らのほか、人材派遣会社と直接契約して人件費を負担する派遣労働者らに限られている。
ヤマダ電機は東証1部上場、直営・系列店は全国で300店を超える。売上高(単体)は2006年3月期で1兆2642億円。
ヤマダ電機経営企画室の話「(是正指導を受けたかどうかも含め)一切、コメントできない」■指示書にノルマ 本紙取材後取りやめ■
ヤマダ電機は、読売新聞がヘルパー問題について取材を申し込んだ昨年末以降、「以前から法令を順守しており、違法な行為はない」とする一方、ヘルパー一人ひとりに配布していた指示書や、終業後に提出を義務付けていた業務日報などを取りやめていた。
読売新聞の取材で、指示書、日報が関東、関西、九州などの少なくとも14店で使用されていたことを確認。指示書には、他社製品を含む売り上げ目標や、本来業務とは無関係なクレジットカード、無料修理特典の新規契約目標などノルマを明記したり、実績などからランク分けしたヘルパーの「階級」を記載したものもあった。
「LABI1なんば」では、採否を事実上決定していた店長の「事前面接」もなくなった。同店や他の一部直営店で継続していた社名入り名刺の使用については、今回の是正指導を受け、ヤマダ電機本社が見直しを指示しているという。◆家電量販店のヘルパー 本来の仕事は、自社メーカー製品の販売促進。各メーカーとも量販店への販売依存度が高まるにつれ、人件費削減を進める量販店側からの要望が強まり、送り込む人数が急増。大半は、メーカーが人材派遣会社と契約した派遣労働者。ヨドバシカメラは全国19店舗で1日に計2500人(繁忙期)を受け入れているが、ヤマダ電機をはじめ多くの量販店は、その人数を明らかにしていない。
↓こちらは、法律を厳守しなければならない京都の法務局で、「偽装出向」が明らかになったというニュース。
「京都法務局へ偽装出向」 直接雇用求め労働局に申告(朝日新聞)
「京都法務局へ偽装出向」 直接雇用求め労働局に申告
[asahi.com 2007年03月07日]民間企業から出向し京都法務局で登記の電子化業務に従事している男性(41)が、「法務局職員に直接使われる仕事実態で、これを出向とするのは職業安定法(労働者供給事業の禁止)に抵触する」として6日、同局と法務省所管の公益法人「民事法務協会」に直接雇用を求めて大阪労働局に申告した。法務局の職場に行き着くまでに出向を繰り返す形で別の民間企業や公益法人を経由しており、男性側はこれが「偽装出向」にあたるとしている。
申告書によると、男性は95年2月から、京都法務局バックアップセンターでシステム管理補助員として勤務。不動産登記の電子化のためのデータのチェックや修正作業をしている。
男性は94年12月、IT関連会社(本社・東京)の契約社員に応募、採用された。その後、大阪の情報サービス会社で研修を受け、この会社の社員として京都法務局での勤務を命ぜられた。
この業務は、法務局が民事法務協会に発注した。登記簿などの入力作業は、協会から情報サービス会社に委託されて、別の場所で行っている。しかし、男性の勤務先の京都法務局には業務の指示をする会社の上司はおらず、男性は法務局の職員と民事法務協会の職員の指示で作業をしているという。
本来、出向は企業グループ内での人事交流、技術指導などに限られ、今回のように情報サービス会社と民事法務協会の間では成り立たない。職業安定法では、賃金がピンハネされ、労働安全がないがしろにされるとして、労働者の供給事業(人出し)は原則禁止されている。
男性の直接の雇用主であるIT関連会社は「企業間で出向契約を結んでいる。違法ではない」。京都法務局は「民事法務協会の職員と思っていた。法務局職員は指揮命令していない」と話している。
この男性のケースも、雇用関係は複雑怪奇。東京のIT関連会社の契約社員でありながら、大阪の情報サービス会社で研修を受け、この会社から京都法務局での仕事を命じられ、日常業務の指示は法務局および民事法務協会の職員から受けている、というもの。なんにせよ、「民事法務協会の職員と思っていた」という京都法務局のコメントは、あまりにずさん…。
↓こちらも、法律をきちんと守るべき公立学校での「偽装請負」問題。
「英語指導助手は偽装請負」 講師ら「雇用指導を」(朝日新聞)
「英語指導助手は偽装請負」 講師ら「雇用指導を」
2007年03月23日10時27分大阪府内の23市町村の公立小中学校などで、英語を指導する「外国語指導助手」が、実際には学校の指示で働いているのに、業務委託の形をとっているのは「偽装請負」にあたるとして、外国人労働者でつくる労働組合「ゼネラルユニオン」(事務局・大阪市)が22日、講師の直接雇用を各教委に指導するよう大阪府教委に申し入れた。
ユニオンは今年1月に府内の43市町村を対象にアンケートを実施。その結果、堺市や高槻市など23の教委が、英会話教室の経営会社などに業務委託したり、請負契約を結んだりしていた。
請負契約の場合、業者が仕事の指示や労務管理をしなければならないが、ユニオンは「実際には、学校側の指示で講師は授業をしている」と主張。この場合、労働者派遣法に基づく派遣契約か直接雇用でなければならないとしている。
大阪労働局の調査を受けた枚方市などでは、現在の請負契約を見直し、派遣か直接雇用への切り替えを検討。一方、高槻市などは「文部科学省などとも相談したが、業務委託が直ちに違法とはならないと聞いている」とし、新年度も現行のままという。
英会話教室と公立学校とが業務委託・請負契約を結んでやっているのであれば、外国人講師は、派遣ではないのだから、派遣先企業(この場合は学校)から仕事上の指示を受けることはできないはず。授業の進め方などについて、学校が指示していれば、派遣法違反ということになります。枚方市は、派遣か直接雇用に切り替えるとしていますが、高槻市の問い合わせに、文部科学省が本当に「直ちに違法とはならない」と回答したのであれば、文部科学省の姿勢が問われることになります。
↓こちらは、業務請負契約を結んだ男性をつかって、運送会社が、郵政公社から小包配達業務を請負っていたというケース。
兵庫県労働委員会で認められたのは、男性たちと運送会社との間で、「業務請負契約」の形はとっていても、実態は、雇用関係にあったというところだけ。しかし、実際の仕事の指揮・監督を受けていれば、名目が「業務請負」であっても、ダメだということです。
郵便小包配達で「偽装請負」 兵庫県労働委が救済命令(朝日新聞)
郵便小包配達で「偽装請負」 兵庫県労働委が救済命令
2007年03月07日08時47分郵便小包の配達を神戸市の運送会社から「業務請負契約」名目で引き受けていた男性らについて、兵庫県労働委員会は、「会社との関係では労働者の地位にある」として、「請負契約解約」を不当労働行為と認め、解約以降の報酬相当額の支払いを会社に命ずる救済命令を出した。6日、当事者に命令書が届いた。労働者を使用している実態があるのに請負契約を装う「偽装請負」は、大手メーカーへの労働者派遣で問題となっているが、郵便配達の現場でも指摘された形だ。
2月23日付の命令書によると、神戸市西区の運送会社「関西トランスポート」は03年1月から05年6月まで、兵庫県加古川市の加古川郵便局との間で小包郵便物配達の委託契約を結び、実際の配達には男性ら約10人があたっていた。男性らは関西合同労働組合に入り、会社に団体交渉を申し入れたが、05年5月、会社は男性らに「請負契約を解約する」と通告し、団体交渉も拒否した。男性らは仕事を失った。
命令書は4人の組合員について「配達員は、会社によって長時間にわたって拘束され、その指揮監督を受けて、業務に従事していた」と判断した。日本郵政公社を相手取った救済申し立てについては、命令書は「公社は使用者には該当しない」と却下した。
↓静岡県湖西市の自動車部品メーカーでの「偽装請負」の事件。人材派遣会社が「派遣への切り替えを検討中だった」と言っているのだから、もうこれはほぼ確実。
直接雇用求め申告…静岡・湖西の日系ブラジル人
[2007年3月14日 読売新聞]静岡県湖西市の自動車部品メーカーが、請負契約なのに実態は労働者派遣を受ける「偽装請負」を続け、労働者派遣法に違反しているとして、同社工場で働く日系ブラジル人が13日、静岡労働局に対し、同社が直接雇用するように指導や勧告を求めて申告した。
労働局は実態を調査する方針。申告したのは、愛知県内の人材派遣会社の社員クリスチャン・オトウブさん(28)(湖西市)。メーカーと派遣会社が結んだ請負契約に基づき、本社工場で6年、製造ラインの作業に従事している。
請負契約の場合、発注者側は業務全体を請負会社に任せ、派遣された労働者には指揮、命令できない。
申告によると、オトウブさんらは派遣先の社員から日常業務の指揮、命令を受け、社員と一緒に作業していると主張。また同法で定める製造業の派遣期限3年を超えているため、直接、雇用契約すべきだとしている。オトウブさんら同僚ブラジル人48人のうち5人が派遣先工場からの引き揚げを求められていると訴え、組合を結成して雇用条件の改善を求めている。人材派遣会社は「当初の請負契約から実態が変わり、派遣契約に切り替えるよう求めて協議中だった」と説明。メーカーは「派遣契約の内容を検討中」としている。
だいたい、人材派遣会社が業務請負できるというのが、そもそもおかしいのでは? 業務請負というのは、あくまで、業務を請け負うだけの仕事のスキルをもった会社がおこなうもの。人材派遣会社が、自動車部品の製造のノウハウを持っていないことは、はじめからわかりきったことで、そういうところと業務請負契約が結べる、ということ自体が、すでに「偽装請負」を生み出す原因になっていると思います。