この間、離婚後300日以内に生まれた赤ん坊は、前夫の子どもとみなすという民法772条2項の規定(いわゆる「300日規定」)が大きな問題になっていますが、この問題で自民・公明のプロジェクトチームが考えた再婚禁止期間を100日にするという案を、自民党の中川昭一政調会長がけっぽったというニュース。
で、結局、運用の見直しで対応するということになるようです。
300日規定見直しは再検討 再婚禁止期間短縮見送り(熊本日日新聞)
300日規定、運用で見直し=離婚後妊娠の医師証明で?法務省(時事通信)
300日規定見直しは再検討 再婚禁止期間短縮見送り
[熊本日日新聞 2007年4月5日 20:26]自民党の中川昭一政調会長は5日、自民、公明両党のプロジェクトチーム(PT)が作成を進める離婚後300日以内に生まれた子が「前夫の子」として扱われる民法規定見直しに関する特例新法について、「法務省との調整が必要」としてPTの早川忠孝座長に再検討を指示した。
中川氏は、PTが法案に盛り込む方針だった女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月間から100日間に短縮する項目についても「(300日規定の見直しと)どうリンクするのか納得していない」と、慎重に検討するべきだとの考えを伝えた。
自民党政調幹部は同日、記者団に「再婚禁止期間の短縮は今国会では困難になった」と語り、PTが今国会提出を予定していた再婚禁止期間の短縮を合わせた形での法案提出は見送られることが確実な情勢になった。
300日規定、運用で見直し=離婚後妊娠の医師証明で?法務省
[時事通信 2007/04/05-21:36]法務省は5日、離婚後300日以内に生まれた子を「前夫の子」と推定する規定について、離婚後に妊娠したことを医師が証明すれば、「再婚した夫の子」などと認めるとする対応方針をまとめた。民法772条の条文は変えず、運用を見直す。与党や医師会などの理解が得られれば、4月末にも市区町村に通達を出す考えだ。
通達は、市区町村の窓口で医師の証明書を提出すれば、「非嫡出子」または「再婚した夫の子」としての出生届を認めるという内容。同省は「妊娠時期が離婚後であれば『前夫の子』の推定は及ばないと運用しても、制度の趣旨には反しない」としている。
これに関連し、長勢甚遠法相は同日、自民党の中川昭一政調会長に対し、300日規定見直しの特例法案の今国会提出に反対する考えを伝えた。この後、法相は「この問題は運用で対応する。(新たな)法的措置を講じることは考えていない」と記者団に明言した。
以前、このブログで、女性の再婚禁止期間が不合理だと書いたときに、「もし妊娠していた場合、誰の子どもかはっきりさせるためではないか」という質問があり、それにたいして、再婚禁止期間と「誰の子どもかはっきりさせる」という問題とは関係ないことを指摘したことがあります。→女性の再婚禁止期間はなぜ不合理か
※ただし、↑での説明には、一部(「推定する」という規定の解釈)、実際の運用を知らないまま書いた部分があったので、それについてはお詫びします。
しかし、こんどのニュースでも、再婚禁止期間と「誰の子どもか」問題とは関係ないことが明らかになった、と思います。なにせ、与党政調会長が「どうリンクしているのか分からない」というんですから、これほど確実なことはありません。(^_^;)
女性だけ離婚禁止期間があるというのは、僕は今でも不合理だと思いますが、それはともかく、女性のみなさん、離婚したら、とりあえず病院に行って妊娠していないことを確認しておきましょう。