請負業者が人材派遣に乗り出す

「偽装請負」にたいする規制が強まったため、長崎県では、請負業者が「特定派遣事業」に乗り出す動きが増えているというニュース。

「偽装請負」が是正されるのはよいけれど、肝心なのは、非正規雇用をなくすこと。人材派遣会社に切り替えても、短期派遣を繰り返すようでは、問題の解決になりません。

県内で「特定派遣」事業が急増 偽装請負改善へ(長崎新聞)

県内で「特定派遣」事業が急増 偽装請負改善へ
[長崎新聞 2007年4月7日付]

 労働者派遣法に違反する「偽装請負」が県内の大手造船業や電子デバイス業などで起きていた問題で、適法化へ向けて派遣事業に乗り出す請負業者が急増していることが分かった。長崎労働局への派遣事業の許可届け出は2006年度、128件で、前年度の3倍。業界自身が改善を目指す動きが表面化した形だが、一方では請負の縮小が新規求人減という現象も招いており、状況は複雑だ。

 偽装請負とは、実態が労働者派遣であるにもかかわらず請負契約とする不適正な請負。請負は、注文主と請負業者の労働者との間に指揮命令関係がないが、造船業界のような現場では注文主が指揮命令をするケースがある。直接の指揮命令は派遣業にあたる。派遣に切り替えると正規雇用の義務が生じたり、発注元(請負の注文主)に安全管理義務が生じるため、偽装請負で責任を免れることが問題視されている。
 製造業の派遣では労働者を雇用し、発注元へ派遣する特定派遣事業が多い。国への特定派遣事業の届け出を長崎労働局が審査しており、05年度は38件、06年度は128件と急増。特に先月は65件あった。
 請負業者の間で、請負事業としての適正化を図るよりも、労働者を雇用して発注元に派遣する派遣事業の許可を得る方が、経済的理由などから得策と判断する動きが広がったことが急増の背景にあるようだ。
 一方、同局が毎月発表する労働市場動向の産業別新規求人状況によると、1月の製造業は1,069人(前年同月比35.3%減)。電子部品・デバイス製造業から業務請負会社が撤退したため。2月の製造業は1,141人(同9.2%減)。造船業が請負事業所からの求人数絞り込みをしたことが原因。偽装請負が改善される陰で新規求人数が減少する皮肉な事態になっている。
 同局職業安定課は「雇用の安定を前提に是正指導している。製造業の新規求人減少は、適正化の過渡期と考えている。業界も改善計画書を提出して努力しており、派遣や適正な請負に切り替えてほしい」としている。

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