今日の「しんぶん赤旗」に、中央大学の吉見義章教授が登場されています。吉見氏の主張は非常に明快です。
- 「従軍慰安婦」とは、日本軍の管理下におかれ、無権利状態のまま一定期間拘束され、将兵に性行為を強要された女性のこと。
- 問題の本質は、軍慰安所制度をつくり、管理・統制し、維持したのは日本軍だということ。軍が、みずからの方針として慰安所の設置を決め、建物を提供し、改装なども行い、慰安所規則をつくるなどしている。これは軍の公文書からはっきり裏づけられている。
- 軍は業者を手足として使ったが、軍の決定なしに、業者が戦地に行って勝手に軍慰安所を開くことはできなかった。
- 軍慰安所では、女性たちは、軍人を拒否できず、廃業の自由もなく、外出の自由もなかった。これは、まさしく奴隷状態である。
- 朝鮮・台湾で、女性を集めたのは主に業者だったが、彼らは総督府や軍の内面的指導を受けていた。「募集等」は「派遣軍において統制し」、「周到適切に」業者を選び、その実施にあたっては「憲兵および警察当局との連携を密に」せよという指示が陸軍大臣の依命通牒として1938年に出されている。
- 日本国内では、「慰安婦」にする女性は21歳以上でなければならないとしていたが、植民地では、このような制限もなく、多くが未成年者だった。
吉見さんの主張で、さらに注目したのは、次の発言。
このように慰安所制度全体が軍のための性奴隷制であり、国際世論はその責任を問うているのです。だから、安倍首相のように「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行く強制性」があったか、なかったかを問題にしても、「理解」されるわけがありません。安倍首相の発言は、「官憲による暴力的な拉致以外は問題ない」といっているようなものなのです。
確かに、官憲が直接暴力的に連行したことを裏づける資料があるかどうかを争うということは、「官憲が暴力的に連行したのでなければ問題なし」と言っているに等しいというのは、本当にその通りですね。ここをはっきりつかむことが、この問題の要だと思いました。